「デモでうまくいった」は評価ではない
RAG を作ると、まず自分で何問か試します。「有給は何日?」「経費の締め日は?」。どれもきちんと答えてくれて、「よし、できた」と思います。
でも、これは評価ではありません。自分で考えた質問は、答えを知っていて、資料と同じ言葉を使った素直な聞き方になりがちです。いわば、自分で作った問題を自分で解いて満点を取っているのと同じです。
本番の利用者は、略語を使い、誤字をし、資料に書かれていないことも聞きます。図の右の四角は本番の質問で、赤は答えが外れたものです。デモの3問には、この赤が1つも出てきません。
この第12章は、RAG の流れ(質問 → 探す → 集める → 読ませる → 答える)の全体を外から測る話です。どこか1か所の部品ではなく、「全体としてうまく動いているか」「どこが崩れているか」を数字で言えるようにします。
第3〜11章では、たくさんの工夫を見てきました。チャンクの大きさ、ハイブリッド検索、リランキング、質問の書き換え…。でも、測れなければ、どの工夫が効いたのかは分かりません。評価は、それらすべての土台です。
※この章は 2026年9月時点の情報をもとにしています。評価ツールの名前や物差しの定義は、版によって変わることがあります。