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AWS でサービスを作る ― 知識ゼロから、構成を自分で考えられるまで / 全32章

AWS 04:お金の考え方 ― 何に払い、どう見張り、どう見積もるか

発行
アニメモ公式
版
第2版
改訂
コマ
全19

AWS の「使った分だけ払う」は、何を数えているのか。時間・量・回数・通信の4つのメーター、見落としがちなデータ転送料やパブリック IP の料金、無料枠の範囲、Cost Explorer とタグで「何が増えたか」を見つける方法、Pricing Calculator での見積もり、Savings Plans など払い方の選び方までを説明します。

予算の知らせが鳴った。でも、何が高いのかわからない

第1章で、予算を超えそうになったらメールが届くようにしました。では、ある日そのメールが届いたとします。あなたは何を見て、何を消せばよいのでしょうか。

請求の画面を開くと、図の右のように、いくつもの行が並んでいます。そして、よく見ると行ごとに「数え方」が違います。

行何で数えるか
EC2(サーバー)動かした時間 × 台数
EBS(ディスク)容量(GB)× 置いていた期間
NAT ゲートウェイ置いていた時間 + 通ったデータの量
データ転送外へ出ていったデータの量
S3(ファイル置き場)容量 × 期間 + 頼んだ回数

AWS の「使った分だけ払う」は便利ですが、何を「使った」と数えるのかを知らないと、次のことができません。

できないこと困ること
増えた理由を探す何を消せば止まるのかわからない
作る前に見積もる始めてから高すぎると気づく
安くするどこを削れば効くのかわからない

この章では、まだ何も作りません。代わりに、料金の数え方・見張り方・見積もり方・安くする考え方を見ていきます。第5章からいよいよ部品を作り始めるので、その前に「お金の目」を持っておきましょう。

※2026年9月時点の情報です。画面・料金・細部は変わることがあります。この章では具体的な単価は書きません。単価は各サービスの料金ページで確かめてください。

  • AWS でサービスを作る 04 ― お金の考え方
  • 1 / 19
  • 予算の知らせが鳴った。でも、何が高いのかわからない
  • 今月の請求(イメージ)
  • 通知
  • 予算の知らせ
  • 80%を超えました(第1章)
  • EC2(サーバー)
  • 時間 × 台数
  • EBS(ディスク)
  • GB × 月
  • NAT ゲートウェイ
  • 時間 + 処理した GB
  • 検索
  • 何が高いの?
  • データ転送
  • 外へ出た GB
  • サーバー? 通信? 保存?
  • S3(ファイル置き場)
  • GB × 月 + リクエスト回数
  • 行ごとに「数え方」が違う。この章では、その数え方と、見張り方・見積もり方・安くする考え方を見る
  • ここを押さえてから第5章で「作る」に進む
  • ひらめき
  • 請求は「何を・どれだけ使ったか」の合計。数え方を知らないと、減らし方もわからない。

一言でいうと:4種類のメーターが回っている

AWS の料金は、家の電気やガスと同じように、メーターで数えると考えるとわかりやすくなります。AWS のメーターは、大きく4種類です。

メーター何を数えるか主な例
時間動かしている(置いている)時間サーバー(EC2)、データベース(RDS)、ロードバランサー
量しまっているデータの大きさ × 期間ディスク(EBS)、ファイル置き場(S3)、バックアップ
回数頼んだ回数(リクエスト)S3 の読み書き、Lambda の呼び出し
通信運んだデータの量インターネットへ出ていく通信、AZ をまたぐ通信

どのサービスも、このメーターのどれか、またはいくつかの組み合わせで料金が決まります。たとえばデータベースの RDS は「時間」と「量」の両方が回ります。

サービスの料金ページは、最初は細かい数字だらけで読みにくく感じます。そんなときは、「このサービスは、どのメーターが回るのか」だけを探してください。それがわかれば、「何を減らせば安くなるか」も見えてきます。

次から、4つのメーターを1つずつ見ていきます。図の左に並んだメーターのうち、色が付いているものが、そのページで見ているメーターです。

  • AWS でサービスを作る 04 ― お金の考え方
  • 2 / 19
  • 一言でいうと:4種類のメーターが回っている
  • 時計
  • ディスク
  • 電気
  • 送信
  • 時間
  • 量
  • 回数
  • 通信
  • 動かしている間
  • しまっている GB
  • 頼んだリクエスト
  • 運んだ GB
  • どのサービスも、この4つのどれか(いくつか)の組み合わせで料金が決まる
  • 料金ページを読むときは「このサービスはどのメーターが回るか」を探す
  • ひらめき
  • 電気やガスのように、AWS の料金はメーターで数える。メーターは「時間」「量」「回数」「通信」の4種類。

メーター①「時間」:動かしている間ずっと回る

1つめは時間のメーターです。サーバーやデータベースは、動かしている時間に応じて料金がかかります。

EC2 のサーバー(Linux の場合)は、1秒単位で数えられます(ただし最低60秒)。1時間だけ使って消せば、1時間分だけです。これがクラウドの「必要なときだけ借りる」の正体です。

ここで大事なのは、「止める」と「消す」は違うということです。図の表を見てください。

もの動かす止める消す
サーバー本体課金止まる止まる
ディスク(EBS)課金課金が続く止まる
パブリック IP課金課金が続く(持っている限り)止まる(手放せば)

サーバーを「停止」すると、サーバー本体のメーターは止まります。でも、サーバーについているディスクは残っているので、その容量の料金はかかり続けます。

また、インターネットから届くための住所であるパブリック IPv4 アドレス(第9章)は、2024年から持っている時間に応じて課金されるようになりました。使っていても使っていなくても同じ料金です。

「止めたから、もうお金はかからない」と思っていると、ディスクと IP の料金が毎月少しずつ積み上がります。要らなくなったら、止めるのではなく消す。これが時間のメーターの基本です。

  • AWS でサービスを作る 04 ― お金の考え方
  • 3 / 19
  • メーター①「時間」:動かしている間ずっと回る
  • 時計
  • 時間
  • 動かしている間
  • 動かす
  • 止める
  • 消す
  • ディスク
  • 量
  • サーバー本体
  • しまっている GB
  • ディスク(EBS)
  • 電気
  • 回数
  • 頼んだリクエスト
  • パブリック IP
  • 送信
  • 通信
  • 運んだ GB
  • 色つき=メーターが回っている。止めても、消すまで回るものがある
  • ひらめき
  • サーバーや DB は動かした時間で課金。止めても、ディスクや IP のメーターは回り続ける。

メーター②「量」:しまっている GB × 期間

2つめは量のメーターです。ファイルやディスク、バックアップのように「しまっておく」ものは、大きさ × 期間で料金が決まります。

この単位を GB-月(ジービー・つき)と呼びます。GB(ギガバイト)はデータの大きさの単位で、スマホの写真なら1枚数 MB(メガバイト)、1 GB はその数百枚分くらいです。

置き方GB-月
100 GB を1か月置く100 GB-月
50 GB を2か月置く100 GB-月
100 GB を半月置いて消す50 GB-月

図の上の帯と下の帯は、面積が同じです。つまり料金も同じです。

この数え方からわかることは2つです。

1つめは、要らないものは早く消すほど安いことです。「そのうち消そう」と思っているファイルやバックアップも、置いている間はずっとメーターが回っています。

2つめは、置き場所によって単価が違うことです。S3 には、よく読むファイル向けの置き場と、めったに読まないファイル向けの安い置き場があります。古くなったファイルを自動で安い置き場へ移す仕組みもあります(第15章)。

フォトログでは、利用者が上げる写真がこのメーターを回します。利用者が増えれば写真も増え続けるので、量のメーターは毎月少しずつ上がっていくものだと考えておきましょう。

  • AWS でサービスを作る 04 ― お金の考え方
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  • メーター②「量」:しまっている GB × 期間
  • 時計
  • 時間
  • 動かしている間
  • GB-月(ジービー・つき)の考え方
  • ディスク
  • 量
  • しまっている GB
  • 100 GB × 1か月
  • どちらも
  • 電気
  • 回数
  • 100 GB-月
  • 頼んだリクエスト
  • 50 GB × 2か月
  • 送信
  • 通信
  • 要らないファイルは早く消すほど安い
  • 運んだ GB
  • 横=置いた期間、縦=大きさ。面積が料金
  • ひらめき
  • ファイルやディスクは「GB × 月」で数える。100GB を1か月置くのも、50GB を2か月置くのも同じ料金。

メーター③「回数」:頼んだ回数で数える

3つめは回数のメーターです。サービスに「これをして」と頼んだ回数(リクエストの数)で料金が決まります。

サービス数えるもの
S3ファイルを置く・読む・一覧する回数
Lambda呼び出した回数 + 動いた時間(第22章)
API Gateway受けた API の回数(第22章)
DynamoDB(オンデマンド)読み書きの回数(第23章)

回数の料金は、1回あたりはとても安く、多くは「100万回あたり」「1,000回あたり」のような単位で書かれています。

だから、個人の練習ではほとんど気になりません。でも、サービスが大きくなると事情が変わります。フォトログの一覧画面を開くたびに、写真を20枚読み込むとしましょう。1日1万人が10回ずつ開けば、それだけで1日200万回の読み込みです。

また、小さなファイルを大量に置くと、量のメーターはほとんど回らないのに、回数のメーターがよく回る、ということも起きます。

回数のメーターを減らすには、「同じものを何度も頼まない」工夫が効きます。一度読んだものを手前に置いておくキャッシュ(第25章)や、利用者の近くから配る CloudFront(第15章)が、その代表です。

  • AWS でサービスを作る 04 ― お金の考え方
  • 5 / 19
  • メーター③「回数」:頼んだ回数で数える
  • 時計
  • 時間
  • 動かしている間
  • 回数で数える例
  • ディスク
  • 量
  • S3 のリクエスト
  • ファイルを置く・読む・一覧する回数
  • しまっている GB
  • Lambda の呼び出し
  • 回数 + 動いた時間(第22章)
  • 電気
  • 回数
  • 頼んだリクエスト
  • API Gateway
  • 受けた API の回数(第22章)
  • 送信
  • 通信
  • DynamoDB(オンデマンド)
  • 読み書きの回数(第23章)
  • 運んだ GB
  • 小さなファイルを大量に置くと、量は少なくても回数が効く
  • ひらめき
  • S3 の読み書きや Lambda の呼び出しは回数で課金。1回は安くても、何百万回で効いてくる。

メーター④「通信」:外へ出るときと、またぐときに回る

4つめは通信のメーター、データ転送料です。初心者がいちばん見落としやすいメーターです。

基本の考え方は、入ってくる通信は無料、出ていく通信とまたぐ通信は有料です。図の4本の矢印で見てみます。

通信の向き料金
インターネット → AWS無料
AWS → インターネット有料。ただし、全サービス・全リージョン合計で毎月 100 GB までは無料
AZ をまたぐ(同じリージョンの中)有料。出る側と入る側の両方で数える
リージョンをまたぐ有料

フォトログで言えば、利用者が写真を上げるのは「入ってくる」通信なので無料です。一方、利用者が写真を見るのは「出ていく」通信なので有料です。写真を見る人が増えるほど、このメーターが回ります。

第2章で、AZ をまたぐ通信は「止まらないための保険料」と書きました。その保険料は、このメーターで数えられています。

逆に、同じ AZ の中で、プライベートな住所(第5章)どうしで通信する場合は無料です。

データ転送料は、1 GB あたりは小さくても、写真や動画のような大きなデータを大勢に配ると、請求の中で大きな割合を占めるようになります。その対策が CloudFront(第15章)です。CloudFront から外へ出る通信には、別に毎月の無料分もあります。

  • AWS でサービスを作る 04 ― お金の考え方
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  • メーター④「通信」:外へ出るときと、またぐときに回る
  • 時計
  • 時間
  • 動かしている間
  • インターネット
  • 入ってくる
  • サーバー
  • 無料
  • ディスク
  • 量
  • サーバー
  • しまっている GB
  • 出ていく
  • インターネット
  • 有料(毎月一定量まで無料)
  • 電気
  • 回数
  • AZ a のサーバー
  • AZ c のサーバー
  • 頼んだリクエスト
  • AZ をまたぐ
  • 有料(両方向)
  • 送信
  • 通信
  • 東京
  • 有料
  • 運んだ GB
  • リージョンをまたぐ
  • 大阪
  • 外へ出る通信は、全サービス・全リージョン合計で毎月 100 GB まで無料(2026年時点)
  • ひらめき
  • 入ってくる通信は無料。外へ出ていく通信と、AZ やリージョンをまたぐ通信にお金がかかる。

見落としがちなメーター

ここまでの4つのメーターを踏まえて、気づかないうちに回っていることが多いものを並べます。請求に「知らない行」が出たら、まずここを疑ってください。

もの回っているメーター章
NAT ゲートウェイ置いているだけで時間、さらに通ったデータの量第7章
パブリック IPv4 アドレス持っている時間(使っていなくても)第9章
止めたサーバーのディスクGB-月(サーバーを止めても続く)第10章
たまり続けるバックアップGB-月(古いものを消さない限り増える)第10章
ずっと残るログGB-月(保存期間を決めないと無期限)第17章
使っていないロードバランサー時間(リクエストが0でも)第11章

特に NAT ゲートウェイは、練習で作って消し忘れる代表格です。サーバーを消しても、NAT ゲートウェイは別の部品なので残ります。そして何も通っていなくても、置いているだけで時間のメーターが回ります。

どれも、第1章の予算の知らせと、次に見る Cost Explorer があれば気づけます。そして、各章の最後の「片付け」で消すものの一覧にも、これらが必ず入っています。

  • AWS でサービスを作る 04 ― お金の考え方
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  • 見落としがちなメーター
  • ルーター
  • NAT ゲートウェイ
  • インターネット
  • パブリック IPv4 アドレス
  • 置いているだけで時間課金+通った量(第7章)
  • 持っている時間で課金(使っていなくても)
  • ディスク
  • 止めたサーバーのディスク
  • 更新
  • たまり続けるバックアップ
  • サーバーを止めても GB-月は続く
  • スナップショット(第10章)
  • 書類
  • ずっと残るログ
  • ネットワーク
  • 使っていないロードバランサー
  • 保存期間を決めないと増え続ける(第17章)
  • リクエストが0でも時間で課金(第11章)
  • ひらめき
  • 何も使っていないつもりでも回っているメーターがある。請求で「知らない行」が出たら、まずここを疑う。

無料枠は3種類:クレジット・ずっと無料・お試し

AWS には無料で使える範囲、いわゆる無料枠があります。2026年時点では、大きく3種類です。

種類内容注意
クレジット新しいアカウントに最大 200 ドル分(第1章)期限がある。使い切ると無料プランは終わる
ずっと無料30以上のサービスで、毎月一定量まで無料(例:Lambda の呼び出し、DynamoDB の容量)一定量を超えた分は、ふつうに課金
期間限定のお試し有料プランで、一部のサービスを一定期間だけ無料で試せる期間が過ぎたら、ふつうに課金

大事なのは、どの無料枠にも「範囲」があることです。

たとえば「このサービスは無料枠の対象」と書いてあっても、選んだ大きさ(サーバーの性能など)が対象外だったり、使った量が無料の分を超えていたりすれば、料金はかかります。前のページの見落としがちなメーター、たとえば NAT ゲートウェイやパブリック IPv4 アドレスは、多くの場合無料の範囲に入っていません。

無料かどうかは、料金ページで確かめ、使った後に請求の画面で確かめる。この2回の確認を習慣にしてください。請求の画面には、無料枠の使用状況を見る場所もあります。

第1章の「ゼロ支出予算」を設定しておけば、無料の範囲を1セントでも超えた時点で知らせが届きます。

  • AWS でサービスを作る 04 ― お金の考え方
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  • 無料枠は3種類:クレジット・ずっと無料・お試し
  • 贈り物
  • 更新
  • 砂時計
  • クレジット
  • ずっと無料
  • 期間限定のお試し
  • 新規に最大 200 ドル分
  • 30以上のサービスに毎月の無料分
  • 有料プランで一部のサービス
  • 期限までに使う(第1章)
  • 超えた分は、ふつうに課金
  • 期間が過ぎたら、ふつうに課金
  • 「無料枠の対象」でも、設定次第で範囲を超える。無料かどうかは料金ページと請求の画面で確かめる
  • ひらめき
  • 新規のクレジット、毎月一定量まで無料、期間限定のお試し。どれにも「範囲」がある。

Cost Explorer:何が増えたかをグラフで見る

予算の知らせが届いたら、次に開くのが Cost Explorer です。Billing and Cost Management の画面から開ける、料金をグラフで見る道具です。

図は、フォトログの月ごとの料金を、サービス別に色分けして積み上げたイメージです。9月だけ、青い NAT ゲートウェイが急に伸びています。これが「何が高いのか」の答えです。

見方わかること
サービス別どの部品が増えたか
リージョン別どこのリージョンで増えたか。使っていないはずのリージョンに料金があれば、消し忘れか乗っ取り(第2章)
使用タイプ別同じサービスの中の、どのメーターが回ったか(時間か、通信か)
タグ別どのプロジェクト・どの環境で増えたか(次のページ)
日別いつから増えたか。何かを変えた日と照らし合わせる

見るときのコツは、「いつもと違う伸び方」を探すことです。毎月ゆっくり増えているのは、利用者が増えている証拠かもしれません。一方、ある日から急に増えたものは、何かの設定や消し忘れが原因のことが多いです。

図の例では、NAT ゲートウェイの「通った量」が急に増えていました。サーバーが外のサービスと大量にやり取りを始めたのかもしれません。原因の探し方は第7章と第17章で扱います。

Cost Explorer の画面は無料で使えます。最初に開いたときに有効になり、少し待つとデータが表示されます。

  • AWS でサービスを作る 04 ― お金の考え方
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  • Cost Explorer:何が増えたかをグラフで見る
  • 注意
  • EC2
  • RDS
  • NAT ゲートウェイ
  • その他
  • 9月に NAT が急に増えた →
  • 4月
  • 5月
  • 6月
  • 7月
  • 8月
  • 9月
  • 何かが外と大量に通信している
  • ひらめき
  • サービス別・リージョン別・タグ別に料金を並べて見られる。いつもと違う伸び方をしている行を探す。

タグ:作ったものに「名札」を付けて、お金を分ける

サービス別に見ても、「その EC2 は、本番用? 開発用? 練習の消し忘れ?」までは分かりません。そこで使うのがタグです。

タグは、AWS で作ったもの(サーバー・DB・置き場など)に付ける名札です。キーと値の組で書きます。

キー値の例意味
Projectphotologどのサービスのものか
Envprod / dev本番か開発か
Owneryamada誰が作ったか

タグを付けただけでは、請求は分かれません。コスト配分タグとして有効にする必要があります。

順番操作
1作ったものにタグを付ける
2Billing and Cost Management の「コスト配分タグ」で、使うタグのキー(例:Project)を選んで有効にする
3有効にした後の料金から、Cost Explorer でタグ別に見られるようになる

注意点は、有効にする前の料金は、さかのぼってタグ別に分けられないことです。キーが画面に出てくるまで、また有効になるまでに、それぞれ最大24時間かかることもあります。だから、最初の部品を作る前に、タグの決まりを作っておくのがおすすめです。

フォトログでは、作るものすべてに Project=photolog と Env を付けることにします。

  • AWS でサービスを作る 04 ― お金の考え方
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  • タグ:作ったものに「名札」を付けて、お金を分ける
  • サーバー
  • Web サーバー
  • Project = photolog
  • Env = dev
  • Project ごとの今月
  • photolog
  • 全体
  • データベース
  • データベース
  • Project = photolog
  • Env = dev
  • まとめる
  • Env=prod
  • 本番
  • Env=dev
  • 開発
  • フォルダ
  • 写真の置き場
  • Project = photolog
  • Env = prod
  • ひらめき
  • タグ=キーと値の名札。コスト配分タグとして有効にすると、請求をタグごとに分けて見られる。

予算を増やす:全体・プロジェクト別・いつもと違う

第1章では、アカウント全体に1つの予算を作りました。これは「使いすぎの最後の砦」として残しておきます。そのうえで、見張りを重ねていきます。

見張り何を見るか例
全体の予算アカウント全体の料金月 20 ドル(第1章)
タグ別・サービス別の予算特定のタグやサービスだけの料金Env=dev は月 10 ドル
異常の検出(Cost Anomaly Detection)いつもの使い方との違い急に NAT の料金が跳ねた日

タグ別の予算を作ると、知らせが届いた時点で「開発用が使いすぎた」とわかります。全体の予算だけだと、知らせが届いてから Cost Explorer で原因を探す必要があります。

Cost Anomaly Detection(コストの異常検出)は、あなたの過去の使い方を機械が学び、「いつもと大きく違う」伸び方をしたときに知らせてくれる仕組みです。Cost Explorer を使い始めると、既定の設定が自動で作られ、大きな異常があった日にメールが届きます。金額で決める予算とは違い、「金額はまだ小さいが、伸び方がおかしい」段階で気づけるのが強みです。

どれも、知らせが届くだけでは何も止まりません。届いたら人が見て、判断する。そのための「見る場所」が Cost Explorer です。

  • AWS でサービスを作る 04 ― お金の考え方
  • 11 / 19
  • 予算を増やす:全体・プロジェクト別・いつもと違う
  • 通知
  • 旗
  • 検索
  • 全体の予算
  • タグ別の予算
  • 異常の検出
  • 第1章で作ったもの
  • 例:Env=dev は月10ドル
  • Cost Anomaly Detection
  • 使いすぎの最後の砦
  • どこで使いすぎたかが分かる
  • いつもとの違いを機械が見る
  • 異常の検出は、Cost Explorer を使い始めると既定で設定され、いつもと大きく違う日にメールが届く
  • ひらめき
  • 第1章の全体の予算に加え、タグやサービスごとの予算、いつもと違う伸びを見つける仕組みを重ねる。

作る前に見積もる:Pricing Calculator

ここまでは「使った後」の話でした。今度は作る前です。

AWS Pricing Calculator は、AWS が無料で提供している見積もりの道具です。ブラウザで開き、アカウントが無くても使えます。

順番操作
1リージョンを選ぶ(フォトログなら東京)
2使う部品(EC2、RDS、S3 など)を足していく
3それぞれの使い方を入れる。台数・動かす時間・容量・通信量など
4月額と年額の目安が出る。共有リンクを作ってチームで見られる

3番で聞かれることは、ここまでの4つのメーターそのものです。「何台を何時間」「何 GB を置く」「何回呼ぶ」「何 GB 外へ出す」。メーターの考え方がわかっていれば、何を入れればよいか迷いません。

ただし、見積もりは使い方の予想でしかありません。利用者が予想の10倍来れば、請求も大きく変わります。見積もりで「だいたいこのくらい」をつかんだら、実際の料金は Budgets と Cost Explorer で見張り続けます。

見積もりのもう1つの使い道は、比べることです。「サーバーを大きく1台」と「小さく2台」、「東京」と「大阪」のように、構成を変えたときの差を事前に見られます。第30章の設計演習でも使います。

  • AWS でサービスを作る 04 ― お金の考え方
  • 12 / 19
  • 作る前に見積もる:Pricing Calculator
  • 場所
  • パズル
  • 設定
  • 棒グラフ
  • リージョンを選ぶ
  • 部品を足す
  • 使い方を入れる
  • 月額を見る
  • 東京
  • EC2・RDS・S3 …
  • 台数・時間・GB
  • 共有リンクも作れる
  • ひらめき
  • 見積もりは「使い方の予想」で決まる。予想が外れれば、請求も外れる。
  • だから見積もりの後も、Budgets と Cost Explorer で実際を見張り続ける。
  • ひらめき
  • AWS Pricing Calculator は無料の見積もり道具。部品と使い方を入れると、月額の目安が出る。

フォトログの見積もり:メーターの一覧を作る

フォトログを第16章の形(一般的な Web 構成)まで育てたときに、どのメーターが回るかを一覧にしてみます。

部品回るメーター章
EC2(Web サーバー)時間 × 台数 × 大きさ第9章
EBS(ディスク)GB-月第10章
ALB(入口)時間 + 処理した量第11章
RDS(DB)時間 × 大きさ + GB-月。予備を置くと、そのぶん増える第13章
S3(写真)GB-月 + リクエスト回数第15章
CloudFront(配信)外へ出た GB + リクエスト回数第15章
NAT ゲートウェイ時間 + 通った GB第7章

この表が、そのまま Pricing Calculator の入力項目になります。あとは「利用者が何人で、1人が何枚の写真を上げ、何回見るか」を予想して、数字を入れていきます。

表からわかることもあります。時間で回るもの(EC2・ALB・RDS・NAT)は、利用者がいなくても毎月かかる「固定費」です。量・回数・通信で回るもの(S3・CloudFront)は、利用者が増えるほど増える「変動費」です。

小さく始めるときは固定費を小さくし、利用者が増えたら変動費を気にする。これが、構成の選び方にもつながっていきます。単価は、各部品の料金ページで東京リージョンを選んで確かめてください。

  • AWS でサービスを作る 04 ― お金の考え方
  • 13 / 19
  • フォトログの見積もり:メーターの一覧を作る
  • EC2(Web サーバー)
  • 時間 × 台数 × 大きさ(第9章)
  • EBS(ディスク)
  • GB-月(第10章)
  • ALB(入口)
  • 時間 + 処理した量(第11章)
  • RDS(DB)
  • 時間 × 大きさ + GB-月、予備を置くと倍(第13章)
  • S3(写真)
  • GB-月 + リクエスト回数(第15章)
  • CloudFront(配信)
  • 外へ出た GB + リクエスト回数(第15章)
  • NAT ゲートウェイ
  • 時間 + 通った GB(第7章)
  • ひらめき
  • 部品ごとに「どのメーターが回るか」を並べると、見積もりの入力項目がそのまま出てくる。

払い方を選ぶ:オンデマンド・Savings Plans・スポット

同じサーバーでも、払い方によって値段が変わります。

払い方仕組み向いている場面
オンデマンド使った分だけ払う。約束なし最初はこれ。いつでもやめられる
Savings Plans1年か3年、「1時間あたり○ドル分は使う」と約束すると、その分が割引される毎月ほぼ同じだけ使い続ける部分
スポットAWS の余っているサーバーを安く借りる。AWS の都合で中断されることがある止まっても困らない処理(変換・集計など)

Savings Plans は、約束の範囲によって種類があり、サーバー(EC2)だけでなく、コンテナ(Fargate)や関数(Lambda)、データベースに効くものもあります。約束が固いほど割引が大きくなります。似た仕組みに、昔からあるリザーブドインスタンスもあります。

大事なのはいつ考えるかです。約束は途中でやめられず、使わなくなっても払い続けます。構成がまだ変わるうちに長い約束をすると、使わない約束が残ります。

だから、まずオンデマンドで数か月動かし、毎月ほぼ同じだけ使う部分が見えてから考えます。Cost Explorer には、過去の使い方から Savings Plans のおすすめを出す機能もあります。

なお、無料プランのアカウントでは Savings Plans を買えません(第1章)。

  • AWS でサービスを作る 04 ― お金の考え方
  • 14 / 19
  • 払い方を選ぶ:オンデマンド・Savings Plans・スポット
  • 時計
  • 握手
  • 電気
  • オンデマンド
  • Savings Plans
  • スポット
  • 使った分だけ・約束なし
  • 1年か3年、1時間あたりの額を約束
  • 余っている分を安く。中断されうる
  • 最初はこれ。いつでもやめられる
  • 約束した分が割引される
  • 止まっても困らない処理向け
  • いつ考えるか
  • 数か月動かして、毎月ほぼ同じだけ使う部分が見えてから
  • 注意
  • 約束は途中でやめられない。使わなくなっても払う
  • ひらめき
  • ずっと使うと決まった分は、1年か3年の約束で安くできる。まずはオンデマンドで使い方を見てから決める。

お金を減らす4つの習慣

割引の約束よりも先に効くのは、無駄なメーターを止めることです。4つの習慣にまとめます。

習慣やること止まるメーター
1 消す試したものは、その日のうちに消すすべて
2 止める開発用のサーバーは、夜や週末に止める(第12章で自動化も)時間
3 小さくする性能を使い切っていないサーバーや DB を、小さいものに替える時間(単価が下がる)
4 置き場を選ぶ古いファイルやログを、安い置き場へ移す・期限で消す量

1と2は、今日からできます。この本の各章の最後にある「片付け」は、1の習慣そのものです。

3は、実際にどれだけ使っているかの数字が無いと判断できません。「なんとなく大きめ」で選んだサーバーが、実は1割も使われていない、ということはよくあります。数字の見方は第17章の監視で扱います。

4は、S3 のライフサイクル(第15章)や、ログの保存期間(第17章)で設定します。

どの習慣も、タグがあると格段にやりやすくなります。「Env=dev を夜に止める」「Project タグの無いものは消し忘れ候補」のように、名札で対象を選べるからです。

  • AWS でサービスを作る 04 ― お金の考え方
  • 15 / 19
  • お金を減らす4つの習慣
  • バツ
  • 月
  • CPU
  • フォルダ
  • 消す
  • 止める
  • 小さくする
  • 置き場を選ぶ
  • 試したものはその日に
  • 開発用は夜と週末に
  • 使っていない性能を削る
  • 古いものは安い置き場へ
  • 1〜2は今日から、3は第17章の監視で数字を見てから、4は第15章で扱う
  • ひらめき
  • 消す・止める・小さくする・置き場を選ぶ。割引の前に、まず無駄なメーターを止める。

この章の道具のお金

この章で紹介した、見張る・見積もる道具の料金です。

道具料金
Cost Explorer(画面で見る)追加料金なし
Cost Explorer(API でデータを取る)リクエスト1回ごとに課金
AWS Budgets(知らせるだけ)追加料金なし(予算アクションは2つまで無料、第1章)
Cost Anomaly Detection追加料金なし
タグ・コスト配分タグ追加料金なし
AWS Pricing Calculator追加料金なし

ほとんどが無料です。唯一気をつけたいのが、Cost Explorer の API です。画面で見る分には無料ですが、プログラムから料金のデータを取ると、1回ごとに料金がかかります。結果が何ページにも分かれると、そのページごとに1回と数えられます。自作のダッシュボードで何度も呼び出すような作りにすると、見張るための道具で請求が増える、という本末転倒が起きます。

見張る道具にお金をかけなくても、この章の道具だけで「何に・どれだけ・いつから」は十分にわかります。

  • AWS でサービスを作る 04 ― お金の考え方
  • 16 / 19
  • この章の道具のお金
  • Cost Explorer(画面で見る)
  • 追加料金なし
  • Cost Explorer(API で取る)
  • リクエスト1回ごとに課金
  • AWS Budgets(知らせるだけ)
  • 追加料金なし
  • Cost Anomaly Detection
  • 追加料金なし
  • タグ・コスト配分タグ
  • 追加料金なし
  • AWS Pricing Calculator
  • 追加料金なし
  • ひらめき
  • 見張る・見積もる道具のほとんどは無料。Cost Explorer を API で呼ぶと1回ごとに少し課金される。

よくある落とし穴

お金にまつわる、よくある思い込みです。

思い込み実際防ぎ方
止めたから大丈夫ディスクとパブリック IP のメーターは回っている要らないなら消す
無料枠だから大丈夫大きさや量が範囲を超えている料金ページと請求の画面で確かめる。ゼロ支出予算
東京だけ見れば大丈夫別のリージョンに消し忘れCost Explorer でリージョン別に見る(第2章)
サーバーを消したから大丈夫NAT ゲートウェイやロードバランサーは別の部品として残る章ごとの片付けの一覧で消す
タグは後で付ければいい付ける前の料金は、タグで分けられない最初の部品を作る前に決まりを作る
先に長い約束をすれば安い構成を変えたら、使わない約束が残る数か月動かしてから Savings Plans を考える

どれも、「大丈夫」の思い込みから始まっています。AWS のお金の事故を防ぐいちばんの方法は、自分の思い込みを、請求の画面で確かめることです。

  • AWS でサービスを作る 04 ― お金の考え方
  • 17 / 19
  • よくある落とし穴
  • 月
  • 止めたから大丈夫
  • 贈り物
  • 無料枠だから大丈夫
  • ディスクと IP のメーターは回っている
  • 大きさや量で範囲を超えている
  • インターネット
  • 東京だけ見れば大丈夫
  • ルーター
  • NAT を置きっぱなし
  • 別のリージョンに消し忘れ(第2章)
  • 練習の後も時間課金が続く(第7章)
  • 旗
  • タグを後から付ける
  • 握手
  • 先に長い約束をする
  • 付ける前の分は、タグで分けられない
  • 構成を変えたら、使わない約束が残る
  • ひらめき
  • 「止めたから」「無料枠だから」「東京だけ見れば」大丈夫。その思い込みが請求を膨らませる。

片付け:毎月の「請求の見直し」を習慣にする

この章で作ったもの、つまりタグの決まり、コスト配分タグの設定、予算は、消さずに残します。これからの章のすべての部品に効いてくるからです。

代わりに、この章の片付けは「習慣を作る」ことです。月に一度、次の4つを行う時間を決めましょう。

順番やること
1月初に Cost Explorer を開く
2先月と比べる。サービス別・リージョン別に見る
3知らない行を探す。特に、タグが付いていないもの
4要らないものは、その日のうちに消す・止める

練習で作るものにも、必ず Project タグを付けてください。タグの付いていないものは「誰かの消し忘れ」の目印になります。

第3章の IAM の見直し(使っていないロールや鍵)も、同じ日に行うと続けやすくなります。お金と権限の見直しを、月に一度のセットにしておきましょう。

  • AWS でサービスを作る 04 ― お金の考え方
  • 18 / 19
  • 片付け:毎月の「請求の見直し」を習慣にする
  • 日付
  • 棒グラフ
  • 検索
  • バツ
  • 月初に開く
  • 先月と比べる
  • 知らない行を探す
  • 消す・止める
  • Cost Explorer
  • サービス別・リージョン別
  • タグの無いもの
  • 要らないものは今日
  • 練習で作ったものには必ず Project タグを付ける。付いていないものは「誰かの消し忘れ」の目印になる
  • ひらめき
  • この章で作ったもの(タグ・予算)は残す。代わりに、月に一度、請求を見る時間を決める。

まとめ:メーターを知り、見張り、見積もってから作る

この章で見たことをまとめます。

用語意味
4つのメーター時間・量(GB-月)・回数・通信。どのサービスもこの組み合わせで料金が決まる
止めると消す止めても、ディスクやパブリック IP のメーターは回る。要らないなら消す
データ転送入りは無料。外へ出る・AZ やリージョンをまたぐと有料
無料枠クレジット・ずっと無料・お試し。どれにも範囲がある
Cost Explorer何が・どこで・いつから増えたかを見る
タグ名札。コスト配分タグにすると、お金を分けて見られる。先に決める
Pricing Calculator作る前の見積もり。メーターの一覧がそのまま入力になる
Savings Plans使い方が落ち着いてから、1年か3年の約束で安くする

第1〜4章で、アカウント・場所・権限・お金という土台がそろいました。

いよいよ、フォトログのための部品を作り始めます。最初に作るのは、サーバーではありません。サーバーを置く場所です。サーバーを AWS の中のどこに置き、誰とどうつながるようにするのか。インターネットから丸見えの場所に置いてしまってよいのでしょうか。

次の第5章では、VPC:自分専用のネットワークを作ります。

  • AWS でサービスを作る 04 ― お金の考え方
  • 19 / 19
  • まとめ:メーターを知り、見張り、見積もってから作る
  • 4つのメーター
  • 時間・量(GB-月)・回数・通信。どのサービスもこの組み合わせ
  • データ転送
  • 入りは無料。外へ出る・AZ やリージョンをまたぐと有料
  • 無料枠
  • クレジット・ずっと無料・お試し。どれも範囲がある
  • Cost Explorer
  • 何が増えたかを、サービス・リージョン・タグ別に見る
  • タグ
  • 名札。コスト配分タグにすると、お金を分けて見られる
  • Pricing Calculator
  • 作る前の見積もり。メーターの一覧がそのまま入力になる
  • Savings Plans
  • 使い方が落ち着いてから、1年か3年の約束で安くする
  • ひらめき
  • 次の第5章:いよいよ作る。まずはサーバーを置く「自分専用のネットワーク」、VPC から始める。

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