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Cloudflare のすべて ― 1機能ずつ、仕組みと存在理由から / 全35本

Cloudflare 29:Vectorize と AI Search ― 意味で探して、答える

発行
アニメモ公式
版
第2版
改訂
コマ
全15

文章を数字の並びにする「埋め込み」と、近いものを速く探すベクトルデータベース Vectorize を、キーワード検索の限界から説明します。RAG(検索して答える)の流れ、wrangler での作り方と TypeScript のコード例、RAG を丸ごと任せる AI Search(旧 AutoRAG)、料金と落とし穴まで。

なぜ「キーワード検索」では足りないのか

サービスのよくある質問(FAQ)に、検索窓を付けたとしましょう。利用者が「解約したい」と入力しました。ところが、FAQ に書いてあるのは「退会の手順」です。

ふつうのキーワード検索は、入力された文字が含まれる文書を探します。「解約」という文字は「退会の手順」には含まれていないので、結果は0件です。利用者は「答えが無い」と思って、問い合わせフォームに向かうか、あきらめて去ってしまいます。

人間なら、「解約」と「退会」がほぼ同じ意味だとすぐ分かります。欲しいのは、文字ではなく意味で探す検索です。

さらに最近は、AI に「社内の資料に基づいて答えてほしい」という要望が増えています。AI(LLM)は一般的な知識は持っていても、あなたの会社の規則や、先週書かれたマニュアルは知りません。そこで、質問に関係する資料を探して、AI に一緒に渡すという方法が使われます。この「探す」の部分にも、意味で探す仕組みが要ります。

この号では、その仕組みである埋め込みとベクトルデータベース Vectorize、そして探して答えるまでを丸ごと引き受ける AI Search を見ていきます。

※この号の内容は 2026年9月時点の情報です。料金・上限・提供状況は変わることが多いので、使う前に必ず公式のドキュメントで確かめてください。

  • Cloudflare のすべて 29 ― Vectorize と AI Search
  • 1 / 15
  • なぜ「キーワード検索」では足りないのか
  • 検索:解約したい
  • 本当に欲しいのは
  • キーワード検索の結果:0 件
  • 「退会の手順」の文書
  • 退会の手順
  • 「解約」と「退会」は文字が違う。
  • パスワード再設定
  • 意味で探せれば、見つかるはず。
  • 支払い方法の変更
  • 言葉が違うと、同じ意味でも見つからない。

埋め込み:文章を「意味を表す数字の並び」にする

意味で探すための第一歩が、埋め込み(Embedding) です。

埋め込みモデルは、文章を受け取って、数字の並び(ベクトル)を返す AI のモデルです。たとえば「退会の手順」を入れると、[0.12, -0.53, 0.08, 0.91, …] のような数字が、モデルによって数百〜千個ほど並んだものが返ってきます。この個数を次元数と呼びます。多言語に対応した bge-m3 なら 1024 次元です。

数字の1つ1つに、人間が分かる意味があるわけではありません。大事なのは、モデルが大量の文章から学んだ結果、意味の近い文章は、近い数字の並びになるように作られていることです。「解約したい」と「退会の手順」は、文字は違っても近い並びになり、「カレーの作り方」とは遠い並びになります。

Cloudflare では、この埋め込みを Workers AI(28号)で作れます。

入力埋め込みモデル出力
退会の手順@cf/baai/bge-m3 など1024 個の数字の並び

右の図は、この数字の並びを「空間の中の1点」として描いたものです。本当は 1024 次元の空間ですが、図では2次元に縮めて見せています。

  • Cloudflare のすべて 29 ― Vectorize と AI Search
  • 2 / 15
  • 埋め込み:文章を「意味を表す数字の並び」にする
  • 意味の空間(本当は数百〜千数百次元)
  • 「退会の手順」
  • 退会の手順
  • 埋め込みモデル(Workers AI・28)
  • [0.12, -0.53, 0.08, 0.91, …]
  • 数字が 1024 個(モデルで決まる)
  • 意味の近い文章は、近い数字の並びになる。

意味が近いものは、空間の中で近くに集まる

FAQ の文書を全部、同じモデルで埋め込みにして、空間に置いてみます。すると、図のように意味の近いものどうしが集まります。退会・パスワード・支払いのような手続きの話は手続きどうしで、料理の話は料理どうしで固まり、天気の話は遠くに離れます。

こうなれば、「意味で探す」は「空間の中で近い点を探す」という計算の問題になります。

ただし、文書が何万、何百万と増えると、全部の点との距離を毎回計算するのは遅すぎます。そこで、近い点を速く探せるように、点の集まりを特別な形で整理して保存するデータベースが使われます。これがベクトルデータベースで、Cloudflare のそれが Vectorize です。

項目ふつうのデータベースベクトルデータベース
保存するもの文字・数値の行数字の並び(ベクトル)と、付随する情報
探し方条件に一致する行近い順に上位の何件か
得意なこと正確な一致・集計「似ているもの」を探す

Vectorize は Workers からバインディングで使えます。KV や D1 と同じように、env.VECTORIZE として呼び出します。

  • Cloudflare のすべて 29 ― Vectorize と AI Search
  • 3 / 15
  • 意味が近いものは、空間の中で近くに集まる
  • 数字の並び=空間の中の1点
  • 意味の空間(本当は数百〜千数百次元)
  • 退会の手順
  • 明日の天気
  • 手続きの文書は、手続きどうしで集まる
  • 料理の文書は、料理どうしで集まる
  • パスワード再設定
  • 関係ない話題は、遠くに離れる
  • 支払い方法の変更
  • Vectorize
  • カレーの作り方
  • 点の集まりを保存するデータベース
  • パスタのゆで方
  • この点の集まりを保存して、近いものを速く探すのが Vectorize。

質問も同じモデルで点にして、近い点を探す

利用者が「解約したい」と入力したら、この質問も同じ埋め込みモデルで数字の並びにします。すると、空間の中に質問の点が置かれます。図の赤い点です。

「解約」という文字は、どの文書にも入っていません。でも、質問の点は「退会の手順」のすぐそばに置かれました。意味が近いからです。これが、キーワード検索では見つからなかった答えを見つけられる理由です。

では、「近い」はどう測るのでしょうか。代表的な測り方は次のとおりです。

測り方考え方
コサイン類似度(cosine)2つの矢印の向きがどれだけそろっているか。文章の埋め込みでよく使う
ユークリッド距離(euclidean)2つの点の間のまっすぐな距離
内積(dot-product)向きと長さの両方を見る

どれを使うかは、Vectorize のインデックス(点を入れる箱)を作るときに決めます。埋め込みモデルの説明に推奨の測り方が書かれていることが多いので、それに従いましょう。迷ったら、文章の検索ではコサイン類似度が定番です。

  • Cloudflare のすべて 29 ― Vectorize と AI Search
  • 4 / 15
  • 質問も同じモデルで点にして、近い点を探す
  • 質問「解約したい」も埋め込みにする
  • 意味の空間(本当は数百〜千数百次元)
  • 退会の手順
  • 明日の天気
  • → 空間に質問の点が置かれる
  • 質問:解約したい
  • 「解約」という文字は文書に無いが、
  • パスワード再設定
  • 意味は「退会」のすぐそば
  • 支払い方法の変更
  • Vectorize
  • カレーの作り方
  • 点の集まりを保存するデータベース
  • パスタのゆで方
  • 近さは「向きの近さ」(コサイン類似度)などで測る。

いちばん近い k 件を返す(topK)

Vectorize に質問の数字の並びを渡すと、近い順に上位 k 件を返してくれます。この k を topK と呼びます。図では topK を 3 にしたので、退会の手順・支払い方法の変更・パスワード再設定の3つが選ばれました。料理や天気の文書は出てきません。

返ってくる結果には、それぞれの近さの点数(score)が付きます。コサイン類似度なら、1 に近いほど似ています。「点数が一定より低いものは使わない」と決めておくと、関係の薄い文書を拾いにくくなります。

結果には、保存するときに付けておいたメタデータ(付随する情報)も一緒に返せます。たとえば、文書の ID、題名、カテゴリなどです。本文そのものは D1(23号)や R2(22号)に置き、Vectorize には ID と短いメタデータだけを入れておく、という分担がよく使われます。

メタデータは、絞り込みにも使えます。「カテゴリが account のものだけから探す」「公開中の文書だけから探す」といった条件を付けて検索できます。ただし絞り込みに使う項目は、先にメタデータの索引を作っておく必要があります(後の落とし穴のページで説明します)。

  • Cloudflare のすべて 29 ― Vectorize と AI Search
  • 5 / 15
  • いちばん近い k 件を返す(topK)
  • 退会の手順
  • 近さ 0.86
  • 意味の空間(本当は数百〜千数百次元)
  • 退会の手順
  • 明日の天気
  • 支払い方法の変更
  • 近さ 0.71
  • 質問:解約したい
  • パスワード再設定
  • 近さ 0.64
  • パスワード再設定
  • query(質問のベクトル, { topK: 3 })。数字は説明用の例
  • 支払い方法の変更
  • Vectorize
  • カレーの作り方
  • 点の集まりを保存するデータベース
  • パスタのゆで方
  • 「解約したい」→ 退会・支払い・パスワード。料理や天気は出てこない。

RAG ①:探す ― 質問に関係する資料を集める

ここまでの「意味で探す」を使って、AI に社内の資料に基づいて答えさせる方法が RAG(Retrieval-Augmented Generation、検索で補強した生成)です。流れは5段で、前半の3段が「探す」です。

段やること使う機能
①質問を埋め込みにするWorkers AI(28号)
②Vectorize で、近い文書を k 件探すVectorize
③見つかった ID で、元の文章を取り出すD1・R2・KV など

なぜわざわざ探すのでしょうか。LLM は、学習したときに見た知識しか持っていません。あなたの会社の退会の条件や、昨日変わった料金表は知りません。知らないことを聞かれると、それらしい作り話をしてしまうこともあります。

そこで、答えさせる前に、手元のデータから関係する部分を探して集めておくのです。資料全部を毎回 AI に渡すのは、長すぎて入りきらないうえに費用もかかります。関係する数件だけを選んで渡せば、短く、安く、正確になります。

  • Cloudflare のすべて 29 ― Vectorize と AI Search
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  • RAG ①:探す ― 質問に関係する資料を集める
  • ① 質問を埋め込みにする(28)
  • 意味の空間(本当は数百〜千数百次元)
  • 退会の手順
  • 明日の天気
  • ② Vectorize で近いものを k 件
  • 質問:解約したい
  • パスワード再設定
  • ③ 元の文章を取り出す
  • 支払い方法の変更
  • ④ 質問+文章を LLM に渡す
  • カレーの作り方
  • ⑤ 根拠のある答えが返る
  • パスタのゆで方
  • AI に答えさせる前に、まず自分のデータから根拠を探す。

RAG ②:答える ― 集めた資料を添えて LLM に聞く

後半の2段が「答える」です。

段やること
④集めた文章と質問を、LLM に一緒に渡す
⑤LLM が、資料に基づいた答えを返す

LLM に渡す指示は、たとえば「次の資料だけを根拠に答えてください。資料に書かれていないことは『分かりません』と答えてください」のようにします。その後ろに、③で取り出した文章を並べ、最後に利用者の質問を置きます。

こうすると、LLM は自分の記憶よりも、目の前の資料を元に答えるようになります。作り話がゼロになるわけではありませんが、大きく減ります。さらに、どの文書を根拠にしたかを答えと一緒に表示すれば、利用者が自分で確かめることもできます。

RAG の良いところは、AI を学習し直さなくても、資料を入れ替えるだけで答えが新しくなることです。料金表が変わったら、その文書を埋め込みにして Vectorize に入れ直すだけです。

  • Cloudflare のすべて 29 ― Vectorize と AI Search
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  • RAG ②:答える ― 集めた資料を添えて LLM に聞く
  • ① 質問を埋め込みにする(28)
  • 意味の空間(本当は数百〜千数百次元)
  • 退会の手順
  • 明日の天気
  • ② Vectorize で近いものを k 件
  • 質問:解約したい
  • パスワード再設定
  • ③ 元の文章を取り出す
  • 支払い方法の変更
  • ④ 質問+文章を LLM に渡す
  • カレーの作り方
  • ⑤ 根拠のある答えが返る
  • パスタのゆで方
  • 資料に基づくので、社内の決まりにも答えられる。作り話も減る。

導入:インデックスを作り、バインディングを書く

Vectorize を使うには、まずインデックス(ベクトルを入れる箱)を作ります。wrangler のコマンドで作れます。

npx wrangler vectorize create faq-index --dimensions=1024 --metric=cosine
npx wrangler vectorize create-metadata-index faq-index --property-name=category --type=string

--dimensions には、使う埋め込みモデルの次元数を指定します。bge-m3 なら 1024 です。--metric は近さの測り方です。この2つは作った後に変えられません。 モデルを変えたら、インデックスを作り直すことになります。

2行目は、メタデータの category で絞り込めるようにするための索引です。絞り込みに使う項目があるなら、ベクトルを入れる前に作っておきます。

次に、wrangler の設定ファイルにバインディングを書きます。埋め込みを作るために、Workers AI のバインディングも一緒に付けます。

toml
[[vectorize]]
binding = "VECTORIZE"
index_name = "faq-index"

[ai]
binding = "AI"

これで、コードから env.VECTORIZE と env.AI が使えるようになります。

  • Cloudflare のすべて 29 ― Vectorize と AI Search
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  • 導入:インデックスを作り、バインディングを書く
  • $ npx wrangler vectorize create faq-index --dimensions=1024 --metric=cosine
  • $ npx wrangler vectorize create-metadata-index faq-index --property-name=category --type=string
  • [[vectorize]]
  • binding = "VECTORIZE"
  • --dimensions
  • index_name = "faq-index"
  • モデルの出力の数に合わせる
  • [ai]
  • binding = "AI"
  • --metric
  • cosine・euclidean など
  • 次元数と距離の測り方は、作るときに決めて後から変えられない。

使い方:入れる(upsert)と探す(query)

文書を入れる処理と、質問から探す処理の例です。

ts
// 入れる:文書を埋め込みにして保存する
const e = await env.AI.run("@cf/baai/bge-m3", { text: [doc.body] });
await env.VECTORIZE.upsert([
  { id: doc.id, values: e.data[0], metadata: { category: "account" } },
]);

// 探す:質問も同じモデルで埋め込みにする
const q = await env.AI.run("@cf/baai/bge-m3", { text: [question] });
const res = await env.VECTORIZE.query(q.data[0], {
  topK: 3,
  returnMetadata: "all",
  filter: { category: "account" },
});
// res.matches は [{ id, score, metadata }, …]

upsert は「無ければ入れる、同じ ID があれば置き換える」です。文書を書き換えたときも、同じ ID で upsert すれば新しい内容になります。

探した後は、res.matches の ID で元の文章を D1 などから取り出し、RAG の④として LLM に渡します。

ts
const context = docs.map((d) => d.body).join("\n---\n");
const answer = await env.AI.run("@cf/meta/llama-3.1-8b-instruct", {
  messages: [
    { role: "system", content: `次の資料だけを根拠に答えてください。\n${context}` },
    { role: "user", content: question },
  ],
});
  • Cloudflare のすべて 29 ― Vectorize と AI Search
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  • 使い方:入れる(upsert)と探す(query)
  • // 入れる:文書を埋め込みにして保存
  • const e = await env.AI.run("@cf/baai/bge-m3", { text: [doc.body] });
  • await env.VECTORIZE.upsert([{ id: doc.id, values: e.data[0], metadata: { category: "account" } }]);
  • // 探す:質問も同じモデルで埋め込みにする
  • const q = await env.AI.run("@cf/baai/bge-m3", { text: [question] });
  • const res = await env.VECTORIZE.query(q.data[0], { topK: 3, returnMetadata: "all" });
  • // res.matches → [{ id, score, metadata }, …]
  • // 答える:見つけた文章を添えて LLM へ(RAG)
  • const answer = await env.AI.run("@cf/meta/llama-3.1-8b-instruct", { messages });
  • 入れるときと探すときで、同じ埋め込みモデルを使う。

AI Search:ここまでの RAG を、丸ごと任せる

ここまで見てきたように、RAG を自分で組むには、やることがたくさんあります。文書を適当な長さに分け、埋め込みにし、Vectorize に入れ、文書が更新されたら入れ直し、質問が来たら探して LLM に渡す。

これを丸ごと引き受けてくれるのが AI Search です。以前は AutoRAG という名前でした。

段AI Search がやること
取り込みR2 のバケットや Web サイトから、文書を読み込む
分割長い文書を、検索しやすい長さのかたまりに分ける
埋め込み・索引かたまりを埋め込みにして、検索できる形で保存する
取り込み直しファイルが増えたり変わったりしたら、自動で反映する
検索と回答質問に近いかたまりを探し、必要なら LLM で答えまで作る

使い方は、管理画面で AI Search のインスタンスを作り、データの置き場所(たとえば R2 のバケット)を指定するだけです。PDF やテキストをそのバケットに置けば、あとは自動で検索できる状態になります。意味の検索に加えて、キーワードでの検索を組み合わせる仕組みも用意されています。

呼び出し方は、Workers のバインディング、REST API、そしてインスタンスごとに用意される MCP サーバーなどがあります。バインディングの書き方は 2026年に新しい形(ai_search_namespaces)に移っているので、公式の Workers binding のページで最新の書き方を確かめてください。

  • Cloudflare のすべて 29 ― Vectorize と AI Search
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  • AI Search:ここまでの RAG を、丸ごと任せる
  • AI Search(旧 AutoRAG)
  • 取り込み
  • 分割
  • 埋め込み
  • R2・Web サイト
  • 答え・検索結果
  • 索引
  • 検索と回答
  • 中では Workers AI と Vectorize 相当の仕組みが動く。ファイルが増えれば自動で取り込み直す
  • Workers のバインディング・REST API・MCP から呼べる。自分で組むのは細かく制御したいときだけ
  • R2 やサイトを指定するだけ。分割・埋め込み・索引・回答まで自動。

Vectorize で組むか、AI Search に任せるか

両方あると、どちらを使えばよいか迷います。目安は次のとおりです。

観点AI SearchVectorize で自分で組む
始めやすさファイルを置くだけ取り込みの処理を自分で書く
更新自動で取り込み直す自分で upsert・削除する
自由度分け方やモデルの選択は用意された範囲分割・モデル・絞り込みを自由に
用途文書に答える検索・チャットRAG に加え、おすすめ・似た画像探し・重複の検出など

まず AI Search で試してみるのがおすすめです。社内文書に答えるボットのような用途なら、数分で動くものができます。

そのうえで、「文書の分け方を細かく決めたい」「D1 の商品データと組み合わせて絞り込みたい」「文章ではなく、画像や商品の特徴で似たものを探したい」といった要望が出てきたら、Vectorize で自分で組みます。Vectorize は RAG 専用ではなく、似ているものを探すための汎用の部品です。

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  • Vectorize で組むか、AI Search に任せるか
  • AI Search
  • Vectorize
  • 任せる。速く始められる
  • 自分で組む。細かく決められる
  • ファイルを置くだけ
  • 分割・モデル・絞り込みを自由に
  • 取り込み直しも自動
  • RAG 以外(おすすめ等)にも
  • 分け方などの自由は少なめ
  • 取り込みの仕組みを自分で作る
  • まず AI Search で試し、足りなければ Vectorize で自分で組む。

料金と制限:「次元の数」で数える

2026年9月時点の料金と主な上限の骨格です。

項目内容
Vectorize の数え方保存している次元の数と、検索で調べた次元の数
無料枠(月)保存 500万次元、検索 3,000万次元
超えた分次元の数に応じた従量課金(Workers Paid プラン)
1ベクトルの次元数最大 1,536
インデックスの数などプランごとに上限あり。公式の Limits で確認
AI Searchベータ中は AI Search 自体は無料で有効にできる。中で使う Workers AI や AI Gateway は別に数える

「次元の数」は、ベクトルの数 × 次元数です。たとえば 1024 次元のベクトルを 4,800 件入れると、約 490万次元になり、保存の無料枠にほぼ届きます。小さなモデル(次元数の少ないモデル)を選ぶと、同じ件数でも数える量が減ります。

検索のほうは、1回の検索で「インデックスにある件数 × 次元数」に近い量を数える形です。件数が多いインデックスを頻繁に検索するなら、見積もりを公式の料金ページの例で確かめておきましょう。

AI Search は、課金が始まる前に通知すると案内されています。本番で使う前に、公式の Limits & pricing を必ず確認してください。

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  • 料金と制限:「次元の数」で数える
  • Vectorize の無料枠
  • 保存 500万次元・検索 3,000万次元/月
  • 超えた分
  • 次元の数に応じた従量課金(Workers Paid)
  • 目安
  • 1024 次元なら約 4,800 件で保存の無料枠
  • 1ベクトルの次元
  • 最大 1,536(2026年9月時点)
  • AI Search
  • ベータ中は本体は無料。中の AI は別料金
  • 2026年9月時点。料金・上限は変わるので公式の Pricing と Limits で確かめること
  • 保存した次元の数と、検索で調べた次元の数に応じて払う。

よくある落とし穴

Vectorize と RAG でつまずきやすい点をまとめます。

落とし穴どうするか
次元数・測り方を変えたくなった作った後は変えられない。新しいインデックスを作って入れ直す
入れるときと探すときのモデルが違う近さが意味をなさなくなる。モデル名を1か所で管理する
絞り込みが効かないメタデータの索引を作る前に入れたベクトルは、絞り込みの対象にならない。索引を先に作る
入れたのに見つからない書き込みは少し遅れて反映される。入れた直後の検索に出ないことがある
長い文書で精度が悪い1つの埋め込みに意味を詰め込みすぎている。段落や見出しごとに分けて入れる
消した文書が出てくる元の文書を消したら、Vectorize からも ID で削除する

とくに「分け方」は、RAG の答えの質を大きく左右します。短すぎると文脈が消え、長すぎると関係ない話が混ざります。AI Search に任せると、この部分も既定の方法でやってくれます。

  • Cloudflare のすべて 29 ― Vectorize と AI Search
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  • よくある落とし穴
  • 次元数・距離の測り方は作った後に変えられない。作り直しになる
  • 入れるときと探すときでモデルが違うと、近さが意味をなさない
  • 絞り込み用の索引は、ベクトルを入れる前に作っておく
  • 入れた直後は、まだ検索に出ないことがある(反映に数秒)
  • 長い文書は段落などに分けてから埋め込む
  • 次元・モデル・メタデータの索引は、最初に決めておく。

他の機能とのつながり

RAG は、いくつもの機能の組み合わせです。

機能役割号
Workers AI埋め込みを作る、答えを生成する28
D1元の文章や、商品などの属性を置く23
R2PDF などの原本を置く。AI Search の取り込み元にもなる22
Queues大量の文書の取り込みを、裏で少しずつ処理する24
Workflows取り込みのような長い手順を、失敗しても続きから25
AI GatewayLLM の呼び出しの記録・キャッシュ・費用の把握30

図の左に並んだ5段の手順のうち、①と④⑤は Workers AI、②は Vectorize、③は D1 や R2 が受け持ちます。AI Search は、この5段をまとめて1つにしたものだと考えると分かりやすいでしょう。

  • Cloudflare のすべて 29 ― Vectorize と AI Search
  • 14 / 15
  • 他の機能とのつながり
  • ① 質問を埋め込みにする(28)
  • Workers AI:埋め込みと回答(28)
  • ② Vectorize で近いものを k 件
  • D1:元の文章と属性(23)
  • ③ 元の文章を取り出す
  • R2:PDF などの原本(22)
  • ④ 質問+文章を LLM に渡す
  • Queues:大量の取り込み(24)
  • ⑤ 根拠のある答えが返る
  • AI Gateway:記録と費用(30)
  • 埋め込みは Workers AI、原文は D1 や R2、管理は AI Gateway。

まとめ:意味で探し、探した資料で答える

この号で見たことをまとめます。

項目内容
何のため文字ではなく意味で探す。AI に自分のデータで答えさせる
埋め込み文章を数字の並びにする。意味が近いと並びも近い
Vectorizeベクトルを保存し、近い順に topK 件を返すデータベース
RAG埋め込み → 近いものを探す → 原文を取り出す → LLM に添えて答えさせる
AI SearchR2 やサイトを指定するだけで、RAG を丸ごと用意(旧 AutoRAG)
料金Vectorize は次元の数で数える。無料枠あり
注意次元数と測り方は後から変えられない。モデルをそろえる。索引は先に

次の30号では、AI の呼び出しそのものを記録し、キャッシュし、見張る AI Gateway を見ていきます。

  • Cloudflare のすべて 29 ― Vectorize と AI Search
  • 15 / 15
  • まとめ:意味で探し、探した資料で答える
  • ① 質問を埋め込みにする(28)
  • 意味の空間(本当は数百〜千数百次元)
  • 退会の手順
  • 明日の天気
  • ② Vectorize で近いものを k 件
  • 質問:解約したい
  • パスワード再設定
  • ③ 元の文章を取り出す
  • 支払い方法の変更
  • ④ 質問+文章を LLM に渡す
  • カレーの作り方
  • ⑤ 根拠のある答えが返る
  • パスタのゆで方
  • 埋め込み → Vectorize で近いもの → LLM に添える。これが RAG。

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権利侵害・不適切な内容の連絡: [email protected]