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Cloudflare のすべて ― 1機能ずつ、仕組みと存在理由から / 全35本

Cloudflare 03:SSL/TLS ― 2つの区間を暗号化する

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アニメモ公式
版
第1版
改訂
コマ
全15

Cloudflare を挟むと暗号の区間が2つになることから、SSL/TLS の設定を説明します。自動で付く Universal SSL、4つの暗号化モード(Off・Flexible・Full・Full (strict))、Flexible でリダイレクトが無限に回る理由、Origin CA 証明書、常時 HTTPS・HSTS・最低 TLS バージョン、料金と落とし穴まで。

なぜ、アドレス欄に鍵のマークが要るのか

ブラウザとサーバーの通信は、途中でたくさんの機器を通ります。カフェの Wi-Fi、プロバイダーのルーター、国をまたぐ回線。暗号化されていない HTTP では、それらの機器の上で中身がそのまま読めます。フォームに入れたパスワードも、ログインの Cookie もです。読めるだけでなく、途中で書き換えることもできます。広告を差し込んだり、ダウンロードするファイルを差し替えたりです。

これを防ぐのが HTTPS です。HTTP の通信を TLS(昔の名前は SSL。今も「SSL」と呼ばれることが多い)で包みます。TLS は2つの仕事をします。

仕事中身
暗号化途中の機器からは中身が読めず、書き換えも検出できる
相手の確認証明書で、「本当に example.com のサーバーか」を確かめる

2つ目が見落とされがちですが、とても大事です。暗号化していても、相手が偽物なら意味がありません。証明書は、認証局(CA)が「このサーバーは確かにこのドメインのものだ」と保証した身分証です。

今のブラウザは、HTTP のページに「保護されていない通信」と表示し、検索エンジンも HTTPS のサイトを優遇します。HTTPS はもはや選択肢ではなく前提です。この号では、Cloudflare を使ったときに HTTPS がどう成り立つのか、何を設定すればよいのかを見ていきます。

※この号は 2026年9月時点の情報をもとにしています。画面の名前・料金・提供範囲は変わることがあるので、公式のドキュメントで確かめてください。

  • Cloudflare のすべて 03 ― SSL/TLS
  • 1 / 15
  • なぜ、アドレス欄に鍵のマークが要るのか
  • 利用者
  • パスワード
  • オリジン
  • ブラウザ・アプリ
  • 途中で盗み見・改ざん
  • あなたのサーバー
  • HTTP は平文。カフェの Wi-Fi・経路上の機器から読める。ブラウザは「保護されていない」と出す
  • HTTPS(TLS)は暗号化し、証明書で「本物の相手」かを確かめる
  • 暗号化しないと、途中の誰でも中身を読めて、書き換えられる。

Cloudflare を挟むと、暗号の区間は2つになる

Cloudflare を使うときに、いちばん大事な考え方がこれです。Cloudflare はリバースプロキシなので、通信はいったん Cloudflare の拠点で終わり、拠点からオリジンへ新しくつなぎ直します。暗号の区間は2つに分かれます。

区間間決めるもの
区間1利用者のブラウザ ⇄ Cloudflare の拠点エッジ証明書(ブラウザが見る証明書)
区間2Cloudflare の拠点 ⇄ あなたのオリジン暗号化モードとオリジンの証明書

ブラウザの鍵マークは、区間1だけを表しています。ブラウザからは、区間2がどうなっているかは見えません。区間2が平文でも、鍵マークは出ます。

だから、Cloudflare の SSL/TLS の設定は、この2つを別々に固めていく作業になります。区間1は Cloudflare がほぼ自動でやってくれます。区間2は、あなたのオリジンの準備が必要です。ここを取り違えると、「鍵マークは出ているのに、実は安全ではない」状態になります。

拠点で一度暗号がほどけることに不安を感じるかもしれません。これはリバースプロキシの仕組み上避けられないことで、だからこそキャッシュや WAF が中身を見て働けます。企業向けには、秘密鍵を Cloudflare に預けない仕組みなども用意されています。

  • Cloudflare のすべて 03 ― SSL/TLS
  • 2 / 15
  • Cloudflare を挟むと、暗号の区間は2つになる
  • Cloudflare のエッジ(世界中の拠点)
  • 区間1:HTTPS
  • エッジ証明書:Universal SSL(自動・無料)
  • 区間2:?
  • 利用者
  • オリジン
  • ブラウザ・アプリ
  • あなたのサーバー
  • 区間1:ブラウザが見るのは Cloudflare の証明書(エッジ証明書)
  • 区間2:Cloudflare がオリジンにどうつなぐか(暗号化モード)で安全さが決まる
  • 利用者⇄エッジと、エッジ⇄オリジン。別々に考える。

区間1:Universal SSL が証明書を自動で出す

区間1の証明書は、Universal SSL という仕組みで自動的に用意されます。ドメインを Cloudflare に追加し、DNS がオレンジの雲(01号)になっていれば、数分から長くても1日程度で証明書が発行されます。

項目内容
料金無料(全プラン)
対象頂点(example.com)と、1段のサブドメイン(*.example.com)
発行元Cloudflare が提携する公的な認証局
更新期限が来る前に自動で更新

昔は、証明書を買い、サーバーに入れ、期限が切れる前に更新するのが大仕事でした。更新を忘れてサイトが見られなくなる事故もよくありました。Universal SSL では、この作業がまるごと無くなります。

注意点は対象の範囲です。ワイルドカード *.example.com は、1段だけを対象にします。api.example.com は対象ですが、v2.api.example.com のような2段のサブドメインは対象外で、ブラウザに証明書のエラーが出ます。2段以上が必要なら、有料の Advanced Certificate Manager で証明書を作るか、名前を1段に収めます(v2-api.example.com のように)。

証明書の状態は、管理画面の SSL/TLS → Edge Certificates で確かめられます。

  • Cloudflare のすべて 03 ― SSL/TLS
  • 3 / 15
  • 区間1:Universal SSL が証明書を自動で出す
  • Cloudflare のエッジ(世界中の拠点)
  • 区間1:HTTPS
  • エッジ証明書:Universal SSL(自動・無料)
  • 区間2:?
  • 対象:example.com と *.example.com
  • 利用者
  • 更新:期限の前に自動
  • オリジン
  • ブラウザ・アプリ
  • あなたのサーバー
  • DNS を Cloudflare に任せると、数分〜で証明書が発行される。証明書の購入も更新作業も要らない
  • ただし *.example.com は1段だけ。a.b.example.com は対象外(有料の証明書が要る)
  • オレンジの雲の名前には、無料の証明書が自動で付き、更新も自動。

区間2の暗号化モードは4つ

区間2で Cloudflare がオリジンにどうつなぐかは、暗号化モードで決まります。管理画面の SSL/TLS → Overview で選びます。

モード区間1区間2相手の確認
OffHTTPHTTPなし
FlexibleHTTPSHTTP(平文)なし
FullHTTPSHTTPSしない(どんな証明書でも通す)
Full (strict)HTTPSHTTPSする(有効で名前の合う証明書だけ)

下に行くほど安全です。目指すのは Full (strict) です。これ以外のモードは、どこかに穴があります。

以前は、ドメインを追加したときの既定が Flexible になることがあり、多くのサイトが知らないうちに区間2を平文で流していました。Cloudflare は2024年から Automatic SSL/TLS という設定を広げています。これは、Cloudflare がオリジンを調べて、そのオリジンが対応できるいちばん安全なモードを自動で選ぶものです。オリジンが正しい証明書を持っていれば Full (strict) に上げ、持っていなければ下げずに今のモードのままにします。

次のページから、Flexible・Full・Full (strict) がそれぞれ何を意味するのかを見ていきます。

  • Cloudflare のすべて 03 ― SSL/TLS
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  • 区間2の暗号化モードは4つ
  • Off
  • 暗号化しない。区間1も HTTP のまま
  • Flexible
  • 区間1だけ HTTPS。区間2は HTTP(平文)
  • Full
  • 区間2も暗号化。ただし相手の証明書は確かめない
  • Full (strict)
  • 区間2も暗号化し、有効な証明書かを確かめる
  • 場所:SSL/TLS → Overview。既定は Automatic(安全なモードを自動で選ぶ)
  • 上から順に安全になる。目指すのは Full (strict)。

Flexible:後ろ半分は暗号化されていない

Flexible は、区間1だけを HTTPS にし、区間2は普通の HTTP(平文)でオリジンにつなぐモードです。

なぜこんなモードがあるのでしょうか。昔は、証明書が有料で、サーバーに入れるのも難しかったからです。「オリジンに証明書を入れられなくても、とりあえず利用者には鍵マークを出したい」という要望に応えるためのモードでした。

でも、このモードには大きな問題があります。

問題中身
区間2が平文パスワードや Cookie が、Cloudflare からオリジンまでの経路で読める
利用者には見えない鍵マークが出るので、利用者は安全だと思い込む
無限リダイレクトオリジンが HTTPS への転送をしていると、ループする(次のページ)

特に1つ目と2つ目の組み合わせが危険です。「安全に見えるけれど、実際は安全ではない」状態は、何も付けていないより悪いとも言えます。

今は、Let's Encrypt のような無料の認証局があり、さらに Cloudflare 自身がオリジン用の無料の証明書(Origin CA。後のページ)を出しています。Flexible を選ぶ理由はもう残っていません。Flexible は使わないと覚えておいてください。

  • Cloudflare のすべて 03 ― SSL/TLS
  • 5 / 15
  • Flexible:後ろ半分は暗号化されていない
  • Cloudflare のエッジ(世界中の拠点)
  • 区間1:HTTPS
  • エッジ証明書:Universal SSL(自動・無料)
  • 区間2:HTTP(平文)
  • 利用者
  • オリジン
  • ブラウザ・アプリ
  • あなたのサーバー
  • パスワード
  • 区間2を流れる中身(パスワード・Cookie)は、オリジンまでの経路で読める
  • オリジンが証明書を持てなかった昔の名残。今は Origin CA が無料なので使う理由がない
  • 利用者には鍵マークが出るのに、裏では平文。「安全に見えるだけ」。

Flexible だと、リダイレクトが無限に回る

Flexible でいちばんよく起きる事故が、リダイレクトの無限ループです。ブラウザには「リダイレクトが多すぎます」(ERR_TOO_MANY_REDIRECTS)と表示され、ページが開きません。

なぜ起きるのか、順番に追ってみます。オリジンは「HTTP で来たら HTTPS に転送する」設定になっているとします。WordPress などでは普通の設定です。

順番起きること
①利用者が https://example.com にアクセスする(区間1は HTTPS)
②Cloudflare は Flexible なので、オリジンに `http://` で取りに行く
③オリジンは「HTTP で来た」と判断し、「https:// へ行け」(301)と返す
④Cloudflare はそれを利用者に返す。利用者は https://example.com へ行き直す → ①に戻る

オリジンから見ると、いつも HTTP でリクエストが来るので、何度でも HTTPS への転送を返します。Cloudflare は何度でも HTTP で取りに行きます。どちらも自分の仕事を正しくしているのに、組み合わせるとループになるのです。

直し方は、オリジンに証明書を入れて Full (strict) にすることです。区間2も HTTPS になれば、オリジンは転送を返さなくなります。HTTP から HTTPS への転送は、オリジンではなく Cloudflare の Always Use HTTPS(後のページ)に任せると、二重の転送も避けられます。

  • Cloudflare のすべて 03 ― SSL/TLS
  • 6 / 15
  • Flexible だと、リダイレクトが無限に回る
  • Cloudflare のエッジ(世界中の拠点)
  • 区間1:HTTPS
  • ① 利用者:https://example.com へ
  • 区間2:HTTP(平文)
  • ② エッジ → オリジン:http:// で取りに行く
  • 利用者
  • ③ オリジン:「https:// へ行け」(301)
  • オリジン
  • ブラウザ・アプリ
  • ④ 利用者:https://example.com へ → ①に戻る
  • あなたのサーバー
  • ブラウザは「リダイレクトが多すぎます」(ERR_TOO_MANY_REDIRECTS)で止まる
  • 直し方:オリジンに証明書を入れて Full (strict) にする。HTTPS への転送は Cloudflare 側で
  • オリジンの「HTTPS へ」と Flexible の「HTTP で行く」がぶつかる。

Full:暗号化はするが、相手を確かめない

Full は、区間2も HTTPS でつなぎます。これで区間2の中身は暗号化され、途中で読まれなくなります。Flexible よりずっとよいモードです。

ただし、Full はオリジンの証明書を確かめません。期限が切れていても、自分で作った証明書(自己署名)でも、名前が合っていなくても、つないでしまいます。

これが何を意味するか考えてみます。TLS の2つの仕事は「暗号化」と「相手の確認」でした。Full は暗号化だけをして、相手の確認を省いています。もし攻撃者が経路を乗っ取り、偽のオリジンを用意したとしても、Cloudflare はその偽物と暗号化して話し、偽物の返事を利用者に届けてしまいます。

防げること防げないこと
区間2の盗み見偽のオリジンへのなりすまし

Full が役に立つのは、移行の途中です。例えば、オリジンに自己署名の証明書しか無い状態から、正式な証明書を入れるまでの間に使います。Flexible から Full に上げるだけでも、盗み見は防げるようになります。

ただし、Full にすると、オリジンが 443番で HTTPS を話せない場合はつながらなくなります(525 などのエラー)。オリジンの準備を確かめてから切り替えてください。

  • Cloudflare のすべて 03 ― SSL/TLS
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  • Full:暗号化はするが、相手を確かめない
  • Cloudflare のエッジ(世界中の拠点)
  • 区間1:HTTPS
  • エッジ証明書:Universal SSL(自動・無料)
  • 区間2:暗号・未確認
  • オリジンの証明書:期限切れ・自己署名でも通す
  • 利用者
  • オリジン
  • ブラウザ・アプリ
  • あなたのサーバー
  • 自己署名の証明書でも動くので、とりあえずの一歩にはなる
  • 経路を乗っ取られ、偽のオリジンに差し替えられても気づけない
  • 盗み見は防げる。でも、なりすましたサーバーにもつないでしまう。

Full (strict):暗号化して、相手も確かめる

Full (strict) は、区間2を HTTPS でつなぎ、さらにオリジンの証明書が有効かどうかを確かめます。確かめるのは次の点です。

確かめること中身
信頼できる発行元か公的な認証局、または Cloudflare の Origin CA が発行したもの
期限内か期限切れの証明書は通さない
名前が合うか証明書の名前が、つなぎに行くホスト名と一致する

これで、2つの区間の両方で「暗号化」と「相手の確認」がそろいます。これが正しい状態です。

オリジンに入れる証明書は、2種類から選べます。

種類特徴
公的な認証局の証明書(Let's Encrypt など)ブラウザが直接つないでも有効。更新は自分で(多くは自動化)
Cloudflare の Origin CA 証明書無料・最長15年。Cloudflare からの接続でだけ有効

オリジンを Cloudflare 以外からも直接使う予定があるなら前者、Cloudflare の後ろ専用なら後者が手軽です。

証明書に問題があると、Full (strict) では 526(無効な証明書)のエラーが出ます。これは Cloudflare の障害ではなく、「オリジンの証明書がおかしいので、つながないで止めた」という、守りが正しく働いた結果です。

  • Cloudflare のすべて 03 ― SSL/TLS
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  • Full (strict):暗号化して、相手も確かめる
  • Cloudflare のエッジ(世界中の拠点)
  • 区間1:HTTPS
  • エッジ証明書:Universal SSL(自動・無料)
  • 区間2:暗号・確認済
  • オリジンの証明書:有効か・名前が合うかを確かめる
  • 利用者
  • オリジン
  • ブラウザ・アプリ
  • あなたのサーバー
  • 必要なもの:オリジンに有効な証明書(公的な認証局のもの、または Origin CA)
  • 両方の区間が暗号化され、両方の相手が確かめられた状態になる
  • 証明書が有効で、名前が合っているオリジンにだけつなぐ。これが正解。

Origin CA 証明書:オリジン専用の無料の証明書

Origin CA 証明書は、Cloudflare が発行する、オリジンに入れるための証明書です。管理画面の SSL/TLS → Origin Server で作れます。

項目内容
料金無料
有効期限選べる。最長15年
信頼するのはCloudflare だけ。ブラウザは信頼しない
使えるモードFull / Full (strict)

期限を長くできるので、「証明書の更新を忘れてサイトが止まる」心配がほぼ無くなります。一方で、ブラウザは信頼しないので、Cloudflare を通さずにオリジンへ直接つなぐと証明書のエラーになります。オレンジの雲の後ろ専用の証明書と考えてください。

作ると、証明書と秘密鍵が表示されます。秘密鍵はこのとき一度しか表示されないので、その場で保存してください。あとはサーバーに設定します。nginx なら次のようになります。

server {
    listen 443 ssl;
    server_name example.com;
    ssl_certificate     /etc/ssl/cf-origin.pem;
    ssl_certificate_key /etc/ssl/cf-origin.key;
}

設定したら、暗号化モードを Full (strict) に切り替えます。期限を長くしても、秘密鍵が漏れたら作り直す必要がある点は、ほかの証明書と同じです。

  • Cloudflare のすべて 03 ― SSL/TLS
  • 9 / 15
  • Origin CA 証明書:オリジン専用の無料の証明書
  • Origin CA 証明書
  • # nginx の例
  • 管理画面で作る・無料・最長15年
  • server {
  • listen 443 ssl;
  • ssl_certificate cf-origin.pem;
  • Cloudflare からの接続では有効
  • ssl_certificate_key cf-origin.key;
  • ブラウザが直接つなぐと警告
  • }
  • 秘密鍵は作った時に一度だけ表示される。その場で保存する
  • Cloudflare だけが信頼する証明書。最長15年。Full (strict) で使える。

導入:オリジンに証明書を入れ、Full (strict) に

HTTPS をきちんと整える手順です。順番が大事で、オリジンの準備が先、モードの切り替えが後です。

順番やること場所
1エッジ証明書が Active か確かめるSSL/TLS → Edge Certificates
2オリジンに証明書を入れる(Let's Encrypt か Origin CA)オリジンのサーバー
3暗号化モードを Full (strict) にする(または Automatic に任せる)SSL/TLS → Overview
4Always Use HTTPS をオンにするSSL/TLS → Edge Certificates
5問題が無ければ HSTS を検討する同上

3で Automatic SSL/TLS を使っている場合、Cloudflare はオリジンを調べて、対応できる一番安全なモードを選びます。変更はいきなり全部の通信に当てず、少しずつ広げて問題が無いかを見ながら進め、安全ではない方向には変えません。手で決めたいときは Custom に切り替えて、自分でモードを選べます。

切り替えたら、curl -I https://example.com で 200 が返るか、エラー番号が出ないかを確かめます。525 は「オリジンと TLS の握手ができない」、526 は「オリジンの証明書が無効」です。どちらも区間2の問題なので、オリジン側を見直します。

  • Cloudflare のすべて 03 ― SSL/TLS
  • 10 / 15
  • 導入:オリジンに証明書を入れ、Full (strict) に
  • 証明書を確認
  • オリジンに証明書
  • Full (strict)
  • HTTPS へ転送
  • HSTS を検討
  • Edge Certificates で証明書が Active になっているか確かめる
  • オリジンには Let's Encrypt などの証明書か、Origin CA を入れる
  • Automatic SSL/TLS は、オリジンが対応できる一番安全なモードを選ぶ
  • オリジンが HTTP しか話せないのに Full 以上にすると 525 などのエラー
  • 順番が大事。オリジンの準備が先、モードの切り替えが後。

区間1を固める:常時 HTTPS・HSTS・最低 TLS

区間2を固めたら、区間1の仕上げです。管理画面の SSL/TLS → Edge Certificates に、次の設定が並んでいます。

設定中身おすすめ
Always Use HTTPShttp:// で来たリクエストを https:// へ転送オン
HSTS「今後は HTTPS だけで来て」とブラウザに覚えさせる慎重にオン
Minimum TLS Version古い版の TLS を断る1.2
TLS 1.3新しく速い版オン

HSTS は、応答に次のようなヘッダーを付ける設定です。

Strict-Transport-Security: max-age=31536000; includeSubDomains

これを受け取ったブラウザは、指定の期間、そのドメインに最初から HTTPS でしかつながなくなります。Always Use HTTPS の転送では、最初の1回だけは HTTP で送ってしまいますが、HSTS ならその1回も無くせます。

ただし HSTS は取り消しが難しい設定です。ブラウザが覚えている間は、HTTPS にできない名前を作ると開けなくなります。includeSubDomains を付けると、すべてのサブドメインに効きます。最初は短い期間で試し、問題が無いことを確かめてから延ばしてください。

TLS 1.0 と 1.1 は古く弱いので、主要なブラウザはすでに使っていません。最低を 1.2 にすれば、ほとんどの利用者に影響せず安全になります。

  • Cloudflare のすべて 03 ― SSL/TLS
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  • 区間1を固める:常時 HTTPS・HSTS・最低 TLS
  • Always Use HTTPS
  • http:// へのリクエストを https:// へ転送する
  • HSTS
  • 「今後は HTTPS だけで来て」とブラウザに覚えさせる
  • Minimum TLS Version
  • 古い TLS(1.0・1.1)の接続を断る
  • TLS 1.3
  • 新しく速い版。既定で有効
  • Strict-Transport-Security: max-age=31536000; includeSubDomains
  • HTTP で来た人を HTTPS へ。次からはブラウザ自身が HTTPS で来る。

料金と制限

HTTPS の基本は、すべて無料プランでそろいます。

項目料金内容
Universal SSL無料頂点と1段のサブドメインのエッジ証明書。自動で更新
Origin CA無料オリジン用。Cloudflare だけが信頼する
暗号化モード・Always Use HTTPS・HSTS・最低 TLS無料全プランで設定できる
Advanced Certificate Manager有料(追加)多段のサブドメイン、認証局や有効期限の指定など
自分の証明書のアップロード上位プランBusiness 以上などで使える

Advanced Certificate Manager は、Universal SSL では足りないときの追加の製品です。*.api.example.com のような多段のワイルドカードを含む証明書を作ったり、認証局や有効期限を選んだりできます。1つの証明書に含められる名前の数などに上限があります。

自分で買った証明書(例えば EV 証明書)を使いたい場合は、上位のプランでカスタム証明書としてアップロードできます。

多くのサイトは、Universal SSL と Origin CA の組み合わせで十分です。

※2026年9月時点の情報です。料金・提供プランは変わるので、公式で確かめてください。

  • Cloudflare のすべて 03 ― SSL/TLS
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  • 料金と制限
  • Universal SSL
  • 無料。頂点と1段のサブドメイン
  • Origin CA
  • 無料。オリジン用・Cloudflare だけが信頼
  • Advanced Certificate Manager
  • 有料。多段のワイルドカード・有効期限の指定
  • 自分の証明書を上げる
  • 上位のプラン(Business 以上など)
  • 2026年9月時点。料金・上限は変わるので公式で確かめること
  • Universal SSL は無料。深いサブドメインや細かい指定は有料の証明書で。

よくある落とし穴

SSL/TLS のトラブルは、エラー番号で見分けられることが多いです。

症状原因対策
リダイレクトが多すぎるFlexible + オリジンの HTTPS 転送オリジンに証明書を入れて Full (strict)
525 SSL handshake failedオリジンが 443番で TLS を話せないオリジンの TLS 設定を見直す
526 Invalid SSL certificateFull (strict) でオリジンの証明書が無効・期限切れ有効な証明書か Origin CA を入れる
2段のサブドメインで証明書エラーUniversal SSL は1段まで名前を1段にする、または有料の証明書
HTTP だけの名前が開けないHSTS に includeSubDomains を付けたHSTS は短い期間から試す

もう1つ、見落としやすい点があります。Full (strict) にしても、攻撃者が Cloudflare を迂回してオリジンに直接つなぐことは防げません。01号で見たとおり、オリジンの番号が漏れていれば直接届きます。

これを塞ぐには、オリジンが Cloudflare からの接続だけを受け付けるようにします。方法は、Cloudflare だけが持つクライアント証明書で確かめる Authenticated Origin Pulls、Cloudflare の番号の範囲だけを許すファイアウォール、そして受け口そのものを無くす Tunnel(15号)です。

  • Cloudflare のすべて 03 ― SSL/TLS
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  • よくある落とし穴
  • Flexible のまま運用し、リダイレクトの無限ループ
  • Full (strict) にしたら 526(オリジンの証明書が無効・期限切れ)
  • HSTS を長く・サブドメイン込みで出し、HTTP だけの名前が開けない
  • a.b.example.com を作ったら証明書エラー(Universal は1段まで)
  • オリジンは Cloudflare からしか受けない(Tunnel・Authenticated Origin Pulls)
  • エラー番号 525・526 は、区間2の問題。Cloudflare 側ではない。

他の号とのつながり

号つながり
01 DNS証明書はオレンジの雲の名前に自動で付く。CAA の行を書くときは Cloudflare の認証局を許すこと
09 ルールHTTPS への転送や、特定のパスだけの設定を細かく決める
13 Registrarドメインと DNS と証明書を1か所で管理できる
15 Tunnelオリジンから外向きにつなぐので、区間2を外にさらさない
16 Access社内ツールも、同じ証明書の仕組みで HTTPS になる
19 Pages独自ドメインを付けると、証明書も自動で用意される

CAA レコード(01号)は、「このドメインの証明書を発行してよい認証局」を指定する行です。自分で CAA を書いている場合、Cloudflare が使う認証局を許していないと、Universal SSL の発行や更新が失敗します。Cloudflare の DNS を使っていれば、必要な認証局を自動で足してくれる仕組みもありますが、CAA を触ったときは Edge Certificates の状態を確かめてください。

  • Cloudflare のすべて 03 ― SSL/TLS
  • 14 / 15
  • 他の号とのつながり
  • 01 DNS
  • 09 ルール
  • 13 Registrar
  • 橙の名前に証明書が付く
  • HTTPS への転送の細かい指定
  • DNS と証明書を1か所で
  • 15 Tunnel
  • 16 Access
  • 19 Pages
  • 区間2を丸ごと安全に
  • 社内ツールも HTTPS で
  • 独自ドメインも自動で
  • 区間2を「そもそも外に出さない」のが Tunnel(15号)。

まとめ:両方の区間を暗号化し、相手も確かめる

この号で見たことをまとめます。

項目内容
なぜ要るか暗号化しないと、途中で読まれ・書き換えられ・なりすまされる
2つの区間利用者⇄エッジ(区間1)と、エッジ⇄オリジン(区間2)
区間1Universal SSL が無料・自動。1段のサブドメインまで
区間2暗号化モード。目指すのは Full (strict)
Flexible区間2が平文。無限リダイレクトの原因。使わない
Origin CAオリジン用の無料の証明書。Cloudflare だけが信頼
仕上げAlways Use HTTPS・HSTS(慎重に)・最低 TLS 1.2
エラー525・526 は区間2の問題。オリジン側を見る

ここまでの3号(DNS・キャッシュ・SSL)が、Cloudflare を使うときの土台です。次の04号からは、この土台の上に乗る「守り」の機能を見ていきます。

  • Cloudflare のすべて 03 ― SSL/TLS
  • 15 / 15
  • まとめ:両方の区間を暗号化し、相手も確かめる
  • Cloudflare のエッジ(世界中の拠点)
  • 区間1:HTTPS
  • エッジ証明書:Universal SSL(自動・無料)
  • 区間2:暗号・確認済
  • 利用者
  • オリジン
  • ブラウザ・アプリ
  • あなたのサーバー
  • Flexible は使わない。オリジンに Origin CA を入れて Full (strict)
  • 仕上げに Always Use HTTPS・HSTS・最低 TLS バージョン
  • 区間1は Universal SSL が自動。区間2は Full (strict) を目指す。

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