+ 作るログイン
図を読み込んでいます…
1 / 14
Cloudflare のすべて ― 1機能ずつ、仕組みと存在理由から / 全35本

Cloudflare 33:企業ネットワーク ― Cloudflare の網を、会社の背骨にする

発行
アニメモ公式
版
第1版
改訂
コマ
全14

大企業のネットワークの悩み(専用線・本社を回る通信・網全体への DDoS)から出発し、Cloudflare WAN(旧 Magic WAN)で拠点をつなぐ考え方、Network Firewall、Magic Transit が BGP で会社の IP の範囲を名乗って守る仕組み、IPsec・GRE と Network Interconnect、SASE と Cloudflare One を、概念の水準で説明します。

大きな会社のネットワークは、何に困っているのか

ここまでの号の多くは、1つのサイトや1つのアプリ、数十人のチームを想定していました。この号では、視点をぐっと広げて、大きな会社のネットワーク全体を考えます。

大きな会社には、図のようにたくさんの場所があります。本社、各地の支店や工場、自社のデータセンター、そして AWS などのクラウド。社員はそれらの間を行き来して仕事をし、インターネット上の SaaS も毎日使います。

このネットワークには、次のような悩みがあります。

悩み中身
つなぐ費用拠点どうしを結ぶ専用線は高く、増やすのも時間がかかる
遅さ支店の通信が、いったん本社を回ってから外へ出る
守りの機械ファイアウォールなどの機械を拠点ごとに買い、更新し続ける
守る範囲サイトだけでなく、会社が持つ IP アドレスのどこが DDoS で狙われてもおかしくない

Cloudflare は、こうした悩みに向けた企業向けの製品も持っています。Cloudflare WAN(2026年に Magic WAN から名前が変わりました)、Magic Transit、Network Interconnect などです。

どれも企業向けの契約が前提で、個人が試せるものではありません。この号では、細かい設定ではなく、「何を置き換えようとしているのか」「なぜそれが Cloudflare でできるのか」を、仕組みの水準でつかむことを目指します。

※この号の内容は 2026年9月時点の情報です。企業向けの製品は、名前・提供条件・管理画面がよく変わります。検討するときは、必ず公式のドキュメントと営業の窓口で確かめてください。

  • Cloudflare のすべて 33 ― 企業ネットワーク(Magic Transit・Magic WAN)
  • 1 / 14
  • 大きな会社のネットワークは、何に困っているのか
  • 本社
  • データセンター
  • ?
  • 支店 A
  • クラウド
  • 支店 B
  • インターネット
  • 本社・支店・工場・データセンター・クラウド。それぞれをどうつなぎ、どう守るか
  • この号は、企業向けの大きな製品の考え方を、仕組みの水準でつかむための号
  • 拠点が多い・専用線が高い・通信が本社を回る・守る範囲が広すぎる。

これまで:専用線(MPLS)で本社に集める

大きな会社のネットワークは、長いあいだ図のような形でした。

部品役割
専用線(MPLS など)通信会社が提供する閉じた回線で、支店と本社、本社とデータセンターを結ぶ
本社の出口インターネットへの出口は本社にまとめ、そこにファイアウォールやプロキシを置く
拠点の機械各拠点にもルーターやファイアウォールを置く

この形は、「大事なものはすべて社内(データセンター)にある」時代には理にかなっていました。社内の通信は閉じた専用線を通り、外への出口は1か所なので守りやすいからです。

ところが、今は大事なものが社外にあります。メールも、ファイルも、業務システムも、クラウドや SaaS の上です。すると、図の赤い線のように、支店から SaaS への通信がわざわざ専用線で本社まで行き、本社の出口からインターネットへ出ることになります。この遠回りは「ヘアピン」と呼ばれ、遅さの原因になります。

さらに、専用線は帯域あたりの費用が高く、新しい拠点を足すにも回線の工事で時間がかかります。本社の出口に置く機械は、通信量が増えるたびに大きなものに買い替えが必要です。

  • Cloudflare のすべて 33 ― 企業ネットワーク(Magic Transit・Magic WAN)
  • 2 / 14
  • これまで:専用線(MPLS)で本社に集める
  • 本社
  • データセンター
  • 支店 A
  • 専用線(MPLS)
  • クラウド
  • 支店 B
  • インターネット
  • 通信会社の専用線で拠点を結び、インターネットへの出口と守りの機械は本社に置く
  • SaaS やクラウドが主役になると、本社を回る分だけ遅く、回線と機械の費用も重い
  • 支店の通信は、クラウド宛てでもいったん本社を回る。遅くて高い。

一言でいうと:会社の網そのものを、Cloudflare に載せる

Cloudflare の答えは、会社のネットワークの「背骨」を、Cloudflare の世界中の網にしてしまうというものです。図では、赤い専用線が消え、すべての拠点が中央の Cloudflare に紫の線でつながりました。

これまでCloudflare に載せると
拠点どうしを専用線で結ぶ各拠点は、近くの Cloudflare の拠点につなぐだけ
通信は本社を回るCloudflare の中で、目的の場所へ直接向かう
守りの機械を拠点ごとに置く守りは Cloudflare の網の中で、どの拠点にも同じ規則で

Cloudflare は、世界の300を超える都市に拠点を持ち、それらを太い回線で結んでいます(00号)。多くの会社の拠点から見て、Cloudflare の拠点は「すぐ近く」にあります。だから、拠点は近くの Cloudflare までつなげば、あとは Cloudflare の網が運んでくれます。

このように、ネットワーク(つなぐ)とセキュリティ(守る)をクラウドのサービスとしてまとめて提供する考え方を SASE(Secure Access Service Edge、「サシー」と読みます)と呼びます。Cloudflare の SASE 製品群の名前が Cloudflare One で、15〜17号の Tunnel・Access・Gateway もその一部です。

  • Cloudflare のすべて 33 ― 企業ネットワーク(Magic Transit・Magic WAN)
  • 3 / 14
  • 一言でいうと:会社の網そのものを、Cloudflare に載せる
  • 本社
  • Cloudflare のネットワーク
  • データセンター
  • Cloudflare WAN:拠点どうしをつなぐ
  • 支店 A
  • クラウド
  • 支店 B
  • インターネット
  • Cloudflare の世界中の拠点を、会社の網の「背骨」として使う
  • この考え方を SASE と呼び、Cloudflare の製品群の名前が Cloudflare One
  • 拠点は近くの Cloudflare につなぐ。つなぐも守るもクラウドで。

Cloudflare WAN(旧 Magic WAN):拠点どうしをつなぐ

Cloudflare WAN は、会社の拠点(本社・支店・データセンター・クラウド)を Cloudflare の網でつなぐ製品です。2026年の名前の整理で、Magic WAN から名前が変わりました。

つなぎ方は、次のとおりです。

方法中身
今のルーターからトンネルを張る拠点のルーターやファイアウォールから、近くの Cloudflare へ IPsec や GRE のトンネルを張る
専用の機械を置くCloudflare One Appliance(旧 Magic WAN Connector)を置けば、設定済みの状態でつながる
専用の接続後のページの Network Interconnect

つないだあとは、Cloudflare の中に経路の表(ルート)を持ち、「10.1.0.0/16 は大阪支店へ」「10.2.0.0/16 は東京のデータセンターへ」のように運び分けます。どの拠点からどの拠点へも、本社を回らずに届きます。これを「any-to-any(どこからどこへでも)」と呼びます。

15号の Tunnel と似ていると感じたかもしれません。Tunnel が「アプリやサーバー単位」で外向きにつなぐのに対して、Cloudflare WAN は「拠点のネットワーク単位」でつなぐ、という違いです。社員の端末(Cloudflare One Client)からの通信も、同じ網の上で拠点の IP アドレスに届けられます。

  • Cloudflare のすべて 33 ― 企業ネットワーク(Magic Transit・Magic WAN)
  • 4 / 14
  • Cloudflare WAN:拠点どうしをつなぐ
  • 本社
  • Cloudflare のネットワーク
  • データセンター
  • Cloudflare WAN:拠点どうしをつなぐ
  • 支店 A
  • クラウド
  • 支店 B
  • インターネット
  • どの拠点からどの拠点へも、Cloudflare の中を通って直接届く(本社を回らない)
  • 専用の機械(Cloudflare One Appliance、旧 Magic WAN Connector)で置くこともできる
  • 支店から近くの Cloudflare へ IPsec・GRE のトンネルを張る。

つないだ通信を、その場で守る

拠点の通信がすべて Cloudflare を通るようになると、守りも Cloudflare の中でできるようになります。図の中央に、守りの札が並びました。

機能役割号
Cloudflare Network Firewall(旧 Magic Firewall)IP アドレス・ポート・プロトコルで、拠点間や外との通信を絞る―
Gateway拠点からインターネットへの通信を、DNS・ネットワーク・HTTP で検査する17
Access社内のアプリに入る人を、リクエストのたびに確かめる16

これまでは、拠点ごとにファイアウォールの機械を置き、それぞれに規則を書いていました。拠点が100あれば、100台の機械の規則をそろえ、更新し続ける必要がありました。

Cloudflare の網の中で守ると、規則は1か所に書くだけで、すべての拠点に同じように効きます。守りの機械の性能の上限を気にする必要もなく、新しい攻撃への対応も Cloudflare の側で更新されます。

支店から SaaS への通信は、近くの Cloudflare で Gateway の検査を受けて、そのまま外へ出られます。本社の出口まで遠回りする必要がなくなるので、守りながら速くなるのです。

  • Cloudflare のすべて 33 ― 企業ネットワーク(Magic Transit・Magic WAN)
  • 5 / 14
  • つないだ通信を、その場で守る
  • 本社
  • Cloudflare のネットワーク
  • データセンター
  • Cloudflare WAN:拠点どうしをつなぐ
  • 支店 A
  • Network Firewall:網の出入りを絞る
  • クラウド
  • Gateway:外への通信を検査(17号)
  • 支店 B
  • Access:社内アプリの受付(16号)
  • インターネット
  • Network Firewall(旧 Magic Firewall):IP・ポートで拠点間や外との通信を絞る
  • 守りの機械を本社に置かなくても、どの拠点の通信も同じ規則で守れる
  • 網は Network Firewall、外へは Gateway、アプリは Access で守る。

Magic Transit:IP の範囲ごと守りたい

ここからは、もう1つの企業向け製品、Magic Transit です。こちらは「つなぐ」より「守る」が主役です。

04号で見たとおり、Cloudflare の DDoS 対策は、サイトの前に立つプロキシとして働きます。12号の Spectrum を使えば、Web 以外の TCP・UDP のアプリも守れます。でも、どちらも「このホスト名・このアプリ」を1つずつ Cloudflare の後ろに置く形です。

大きな会社やデータセンター、通信事業者、ゲーム会社などでは、それでは足りないことがあります。

狙われうるもの例
Web 以外のサーバーメールサーバー、VPN 装置、独自のプロトコルのサーバー
ネットワークの機械そのものルーター、ファイアウォール
会社の IP アドレスの範囲全体203.0.113.0/24 のどこに向けて送られても、回線が埋まれば全部止まる

攻撃者は、Web サイトではなく、会社の回線そのものをあふれさせることもできます。回線があふれれば、その会社のすべての通信が止まります。

Magic Transit は、サイト単位ではなく、会社が持つ IP アドレスの範囲(プレフィックス)ごと、Cloudflare の網で守る製品です。図では、左に利用者と攻撃、右にデータセンターが並ぶ形に変わりました。

  • Cloudflare のすべて 33 ― 企業ネットワーク(Magic Transit・Magic WAN)
  • 6 / 14
  • Magic Transit:IP の範囲ごと守る
  • 利用者
  • Cloudflare ― Magic Transit
  • データセンター
  • 203.0.113.0/24
  • 攻撃(DDoS)
  • メール・VPN 装置・ゲーム・独自の通信…会社の IP アドレスのどこでも DDoS の的になる
  • サイトごとのプロキシ(02・12号)ではなく、IP の範囲(/24 など)ごと守る製品
  • サイト単位では足りない。会社の IP の範囲全体が狙われたら?

仕組み①:会社の IP の範囲を、Cloudflare が名乗る

Magic Transit の中心にあるのは、00号で見たエニーキャストと BGP です。

ふつう、会社の IP アドレスの範囲(ここでは 203.0.113.0/24)は、会社自身や契約している通信会社が、BGP で「この範囲はうちにある」とインターネットに伝えています。だから、その範囲宛ての通信は、会社の回線に直接届きます。

Magic Transit では、この範囲を Cloudflare が、世界中の拠点から名乗ります。するとインターネットのルーターは、203.0.113.0/24 宛ての通信を、いちばん近い Cloudflare の拠点に運ぶようになります。図の2本の矢印のように、利用者の通信も攻撃も、まず Cloudflare に届きます。

名乗る人通信はどこに届くか
会社・通信会社(これまで)会社の回線に直接。攻撃も全部そこに集まる
Cloudflare(Magic Transit)世界中の Cloudflare の拠点に分散して届く

攻撃が世界中の拠点に分散して届くのが大事な点です。どれほど大きな攻撃でも、一つひとつの拠点が受け持つ量は小さくなり、Cloudflare の網全体の容量で吸収できます。これは、00号と04号で見た、Web サイトを守る仕組みと同じ考え方を、会社の IP アドレスそのものに広げたものです。

  • Cloudflare のすべて 33 ― 企業ネットワーク(Magic Transit・Magic WAN)
  • 7 / 14
  • 仕組み①:会社の IP の範囲を、Cloudflare が名乗る
  • 利用者
  • Cloudflare ― Magic Transit
  • 203.0.113.0/24 を BGP で名乗る
  • データセンター
  • 203.0.113.0/24
  • 攻撃(DDoS)
  • 00号のエニーキャストと同じ考え方を、あなたの会社の IP アドレスで行う
  • 攻撃は世界中の拠点に分散して届き、1か所に集中しない
  • 会社の IP の範囲を世界中の拠点で名乗り、まず Cloudflare で受ける。

仕組み②:攻撃を落とし、きれいな通信だけを送る

Cloudflare の拠点に届いた通信は、その場で検査され、攻撃と判断されたものは落とされます(図の赤い×)。この「攻撃を洗い落とす」処理は、よくスクラビングと呼ばれます。Network Firewall の規則で、会社が不要な通信を追加で落とすこともできます。

残ったきれいな通信は、データセンターに届けます。届け方は次のとおりです。

届け方中身
GRE・IPsec のトンネルインターネット越しに、Cloudflare からデータセンターへトンネルを張る
Network InterconnectCloudflare とデータセンターを専用の接続で結ぶ(次のページ)

データセンターから利用者への戻りの通信は、Cloudflare を通さずに、データセンターの回線から直接インターネットへ返すのが基本の形です(行きだけ Cloudflare を通るので、「直接返す」の意味で Direct Server Return と呼ばれます)。戻りの通信も Cloudflare を通す形を選べる場合もあります。

使い方にも2つの形があります。

形中身
常時(Always-on)ふだんから Cloudflare が範囲を名乗り、すべての通信を通す
必要なときだけ(On-demand)ふだんは自分で名乗り、攻撃を受けたときに Cloudflare に切り替える
  • Cloudflare のすべて 33 ― 企業ネットワーク(Magic Transit・Magic WAN)
  • 8 / 14
  • 仕組み②:攻撃を落とし、きれいな通信だけを送る
  • 利用者
  • Cloudflare ― Magic Transit
  • 203.0.113.0/24 を BGP で名乗る
  • 攻撃を落とす(04号の仕組み)
  • データセンター
  • きれいな通信だけ GRE・IPsec で送る
  • 203.0.113.0/24
  • 攻撃(DDoS)
  • 戻りの通信は、データセンターから直接インターネットへ返すのが基本の形
  • 常時 Cloudflare を通す形と、攻撃のときだけ切り替える形がある
  • データセンターへは、トンネルか専用の接続で送る。

つなぎ方:インターネット越しか、専用の接続か

Cloudflare WAN でも Magic Transit でも、拠点やデータセンターと Cloudflare の間を「どうつなぐか」を決める必要があります。

つなぎ方中身向いている場面
IPsec暗号化したトンネル。インターネットにつながっていれば、どこからでも張れる支店・小さな拠点
GRE暗号化しない軽いトンネル。中身の暗号化は別の仕組みで行う暗号化の負荷を避けたいデータセンター
Network InterconnectCloudflare と物理的に直結する。同じデータセンターの建物にいれば、ケーブルで結ぶ大きな帯域・安定した遅延が要る場所
パートナー経由通信会社や、クラウドの接続サービスを通して Cloudflare とつなぐ直結できない場所、クラウドとの接続

Cloudflare Network Interconnect(CNI)は、インターネットを通らない専用の道です。インターネット越しのトンネルは手軽ですが、途中の混雑で遅延が揺れることがあります。CNI なら、その揺れがありません。

選び方の基準は、遅延の安定・帯域・費用・場所です。本社やデータセンターは CNI、支店は IPsec、というように混ぜて使うのが一般的です。

  • Cloudflare のすべて 33 ― 企業ネットワーク(Magic Transit・Magic WAN)
  • 9 / 14
  • つなぎ方:インターネット越しか、専用の接続か
  • IPsec
  • 暗号化したトンネル。どこからでも張れる
  • GRE
  • 暗号化しない軽いトンネル。中身は別で守る
  • Network Interconnect
  • Cloudflare と物理的に直結(同じ建物など)
  • パートナー経由
  • 通信会社やクラウドの接続サービスを使う
  • 選び方
  • 遅延の安定・帯域・費用・場所で決める
  • IPsec・GRE はインターネット越し。Network Interconnect は直結。

Cloudflare One:網とセキュリティを1枚にまとめる

ここまでの号で見てきたものを、並べてみます。

対象製品号
人と端末Cloudflare One Client・Gateway・Access16・17
アプリTunnel でつなぎ、Access で守る15・16
拠点Cloudflare WAN・Network Firewall33
IP の範囲Magic Transit33
外向きのサイトDDoS 対策・WAF・CDN02〜08

これらは別々の製品ではなく、同じ網・同じ管理画面・同じ規則の考え方の上に乗っています。これが Cloudflare One であり、SASE という考え方の具体的な形です。

SASE の利点は、「どこから、何が、どこへ」をすべて1つの網で見られることです。在宅の社員の端末も、支店のプリンターも、データセンターのサーバーも、同じ網の上にあり、同じ記録に残ります(32号)。守りの規則を変えるときも、1か所を直せば全部に効きます。

2026年には、Magic Firewall が Cloudflare Network Firewall に、Magic WAN Connector が Cloudflare One Appliance に、というように、製品の名前も「何をするものか」が分かる形に整理されました。

  • Cloudflare のすべて 33 ― 企業ネットワーク(Magic Transit・Magic WAN)
  • 10 / 14
  • Cloudflare One:網とセキュリティを1枚にまとめる
  • 人と端末
  • Cloudflare One Client・Gateway・Access(16・17号)
  • アプリ
  • Tunnel でつなぎ、Access で守る(15・16号)
  • 拠点
  • Cloudflare WAN・Network Firewall
  • IP の範囲
  • Magic Transit で DDoS から守る
  • 共通
  • 1つの管理画面・1つの記録・世界中の同じ網
  • 人・端末・拠点・アプリを、同じ網・同じ規則・同じ画面で扱う。

導入の流れ:企業向けの契約と、段階的な切り替え

Cloudflare WAN や Magic Transit は、管理画面のボタン1つで始められる製品ではありません。大まかな流れは次のとおりです。

順番やることポイント
1相談と契約対象の拠点・IP の範囲・帯域を整理し、企業向けの契約を結ぶ
2IP の範囲の準備(Magic Transit)Cloudflare がその範囲を名乗ってよいことを示す書類(LOA)や、経路の登録(IRR・RPKI)を整える
3トンネル・接続拠点やデータセンターから IPsec・GRE を張る。または CNI を用意する
4経路と規則経路の表、Network Firewall・Gateway の規則を作る
5切り替え1拠点ずつ切り替え、専用線はしばらく並行して残す

いちばん大事なのは5の段階的な切り替えです。ネットワーク全体を一度に切り替えると、何かが起きたときに原因の切り分けができず、会社中の通信が止まりかねません。

設定は API や Terraform でも管理できます(34号)。拠点が多い会社ほど、コードで管理したほうが間違いを減らせます。

  • Cloudflare のすべて 33 ― 企業ネットワーク(Magic Transit・Magic WAN)
  • 11 / 14
  • 導入の流れ:企業向けの契約と、段階的な切り替え
  • 1. 相談・契約
  • 企業向けの契約。対象の拠点と範囲を決める
  • 2. IP の準備
  • Magic Transit:名乗ってよい証明(LOA・RPKI)
  • 3. トンネル
  • 拠点・データセンターから IPsec・GRE を張る
  • 4. 経路と規則
  • ルートの表・Firewall・Gateway の規則
  • 5. 切り替え
  • 1拠点ずつ。専用線は並行して残しておく
  • 個人で試せる製品ではない。営業と相談し、網の設計から始める。

料金と制限:企業向けの個別契約

項目内容
Magic Transit企業向けの契約。公開の定価は無い
Cloudflare WAN・Network Firewall企業向けの契約(SASE のプランの一部として提供されることもある)
Network Interconnect企業向けの契約。接続する場所の条件がある
Magic Transit の条件名乗る IP の範囲は、インターネットで受け入れられる大きさ(IPv4 では /24 以上)が必要

どれも、規模や構成に応じた個別の見積もりです。

では、小さな会社やチームは同じ考え方を使えないのでしょうか。そんなことはありません。

やりたいこと小さく始める方法
社内のサーバーを受け口なしでつなぐ15号の Tunnel(無料)
社内アプリへの入り口を守る16号の Access(50人まで無料)
社員の端末の通信を守る17号の Gateway(50人まで無料)

これらは、同じ Cloudflare One の一部です。小さく始めて、会社が大きくなったら拠点のネットワークまで広げる、という道筋を描けます。

2026年9月時点の情報です。提供の条件や名前は変わるので、公式で確かめてください。

  • Cloudflare のすべて 33 ― 企業ネットワーク(Magic Transit・Magic WAN)
  • 12 / 14
  • 料金と制限:企業向けの個別契約
  • Magic Transit・Cloudflare WAN・Network Interconnect:企業向けの契約
  • Magic Transit は IP の範囲が /24 以上など、BGP の条件がある
  • 同じ考え方を小さく:Tunnel(無料)+ Zero Trust(50人まで無料)
  • 製品名や管理画面は変わりやすい(2026年に Magic の名前を整理)
  • 2026年9月時点の情報。提供条件や名前は変わるので公式で確かめること
  • 定価は非公開。小さく試すなら Tunnel と Zero Trust の無料枠。

よくある落とし穴

企業のネットワークを Cloudflare に載せるときによく出る話を、概念の水準でまとめます。

落とし穴何が起きるか対策
トンネルの分の大きさを考えないGRE・IPsec の包みの分だけ、1回に運べるデータが小さくなる。大きな通信だけ詰まるMTU と MSS を調整する(MSS クランプ)
行きと帰りで別の道途中の状態を覚えるファイアウォールが、片方しか見えない通信を落とす経路を設計し、どちらの道を通るかを把握する
経路の登録が無いCloudflare が名乗っても、ほかのネットワークに受け入れられないIRR・RPKI の登録を事前に整える
一度に全部切り替える問題が起きても原因が分からない1拠点ずつ、専用線を残したまま移す
監視を用意しないどの拠点のトンネルが落ちたか気づけないトンネルの状態と通信量を監視する(32号)

最初の MSS の話は、とくに分かりにくい問題です。小さなデータは通るのに、大きなファイルのダウンロードやある種のサイトだけが止まる、という症状が出ます。トンネルを使うときは必ず確認する項目です。

  • Cloudflare のすべて 33 ― 企業ネットワーク(Magic Transit・Magic WAN)
  • 13 / 14
  • よくある落とし穴
  • トンネルの分だけ運べる大きさが減る → MSS の調整を忘れて通信が詰まる
  • 行きと帰りで別の道 → 途中のファイアウォールが通信を落とす
  • RPKI・IRR の登録が無い → 経路が受け入れられない
  • 全拠点を一度に切り替え → 問題の切り分けができない
  • 1拠点ずつ、専用線を残したまま、監視しながら移す
  • トンネルの大きさ・行きと帰りの道・経路の証明・一気の切り替え。

まとめ:Cloudflare の網を、会社の背骨にする

項目内容
悩み専用線が高い・本社を回って遅い・守りの機械が多い・IP の範囲全体が狙われる
考え方会社の網の背骨を Cloudflare の網にし、つなぐと守るをまとめる(SASE・Cloudflare One)
Cloudflare WAN(旧 Magic WAN)拠点から近くの Cloudflare へ IPsec・GRE で。どこからどこへでも直接
Network Firewall(旧 Magic Firewall)拠点間・外との通信を IP・ポートで絞る
Magic Transit会社の IP の範囲を Cloudflare が BGP で名乗り、攻撃を落としてからトンネルで届ける
Network Interconnectインターネットを通らない専用の接続
導入企業向けの契約。1拠点ずつ段階的に
小さく始めるならTunnel・Access・Gateway の無料の枠

この号とつながりの深い号は、04 DDoS 対策、12 Spectrum、15 Tunnel、16 Access、17 Gateway と WARP、32 分析とログ、34 Wrangler と Terraform です。

  • Cloudflare のすべて 33 ― 企業ネットワーク(Magic Transit・Magic WAN)
  • 14 / 14
  • まとめ:Cloudflare の網を、会社の背骨にする
  • 本社
  • Cloudflare のネットワーク
  • データセンター
  • Cloudflare WAN:拠点どうしをつなぐ
  • 支店 A
  • Network Firewall:網の出入りを絞る
  • クラウド
  • Gateway:外への通信を検査(17号)
  • 支店 B
  • Access:社内アプリの受付(16号)
  • インターネット
  • 専用線と本社の機械を、Cloudflare の網と規則で置き換える(SASE・Cloudflare One)
  • つながり:04 DDoS・12 Spectrum・15 Tunnel・16 Access・17 Gateway・32 ログ
  • つなぐのは Cloudflare WAN、IP ごと守るのは Magic Transit。

0 件のコメント

読み込み中…

権利侵害・不適切な内容の連絡: [email protected]