+ 作るログイン
図を読み込んでいます…
1 / 14
Cloudflare のすべて ― 1機能ずつ、仕組みと存在理由から / 全35本

Cloudflare 34:Wrangler と Terraform ― Cloudflare をコードで扱う

発行
アニメモ公式
版
第1版
改訂
コマ
全14

Cloudflare を管理画面の手作業ではなくコードで扱うための2つの道具を説明します。wrangler の dev・deploy・設定ファイル・環境・secret・tail・d1/r2/kv コマンド、Terraform でゾーンや DNS やルールを管理する方法、最小権限の API トークン、CI からの自動デプロイ、落とし穴まで。

管理画面で、手でポチポチ設定している

Cloudflare の管理画面(ダッシュボード)は、よくできています。DNS の行を足すのも、Worker を作るのも、クリックだけでできます。最初の一歩としては、それで十分です。

ところが、サービスが育ち、関わる人が増えると、手作業の設定は次第に困りごとの元になります。

困りごと中身
履歴が無い誰が、いつ、何を変えたのかが分からない
レビューできない変更の前に、ほかの人に確かめてもらえない
作り直せない検証用の環境を、本番と同じ形でもう1つ作るのが大変
ずれる本番と検証の設定が、いつの間にか少しずつ違っている
戻せない間違えて消した設定を、元どおりに戻す手順が無い

ソフトウェアの世界では、こうした問題を「コードにして、Git で管理する」ことで解いてきました。設定もファイルに書けば、履歴が残り、プルリクエストでレビューでき、同じファイルから何度でも同じ環境を作れます。この考え方を Infrastructure as Code(インフラのコード化)と呼びます。

この号では、Cloudflare をコードで扱うための2つの道具、wrangler と Terraform を見ます。

※この号の内容は2026年9月時点の情報です。料金・上限・提供状況は変わることがあるので、使う前に必ず公式のドキュメントで確かめてください。

  • Cloudflare のすべて 34 ― Wrangler と Terraform
  • 1 / 14
  • 管理画面で、手でポチポチ設定している
  • あなたのアカウント
  • Workers
  • ゾーン
  • 管理画面で手作業
  • D1・R2・KV
  • DNS レコード
  • Queues ほか
  • ルール・WAF
  • 本番と検証で設定が少しずつ違う / 間違えて消しても元に戻せない
  • コードと同じように、設定もファイルに書いて、レビューして、履歴を残したい
  • 誰が、いつ、何を変えたか分からない。同じ環境を作り直せない。

2つの道具:wrangler と Terraform

Cloudflare の管理画面でできることは、ほぼすべて Cloudflare API からもできます。管理画面も、裏ではこの API を呼んでいます。wrangler も Terraform も、この API を呼ぶ道具です。違いは、得意な範囲です。

道具作っているところ得意なこと
wranglerCloudflareWorkers と、そのまわり(D1・R2・KV・Queues・Workflows…)を作って、試して、公開する
TerraformHashiCorp(Cloudflare 用の部品は Cloudflare)ゾーン・DNS・ルール・WAF・Access など、アカウントの設定をまとめて管理する

ざっくり言うと、アプリを作る人の道具が wrangler、土台を管理する人の道具が Terraform です。

両方を使う会社も多くあります。たとえば、DNS やセキュリティのルールは Terraform で管理し、Worker のコードは wrangler で公開する、という分け方です。Workers そのものも Terraform で管理できますが、コードの開発と公開の流れは wrangler のほうが圧倒的に手軽です。

大事なのは、同じものを2つの道具で管理しないことです。落とし穴のページで、その理由を見ます。

  • Cloudflare のすべて 34 ― Wrangler と Terraform
  • 2 / 14
  • 2つの道具:wrangler と Terraform
  • あなたのアカウント
  • wrangler
  • Workers
  • ゾーン
  • Terraform
  • Cloudflare API
  • D1・R2・KV
  • DNS レコード
  • Queues ほか
  • ルール・WAF
  • wrangler = Workers と、そのまわり(D1・R2・KV・Queues…)を作って動かす
  • Terraform = ゾーン・DNS・ルールなど、アカウントの設定をまとめて管理する
  • どちらも Cloudflare API を呼ぶ。得意な範囲が違う。

wrangler:作る・試す・公開するを1つで

wrangler は、Cloudflare が作っている公式のコマンドラインツールです。Node.js のパッケージとして配られているので、プロジェクトに入れて npx wrangler で使います。

始め方は次のとおりです。

npm create cloudflare@latest my-app   # ひな形からプロジェクトを作る
cd my-app
npx wrangler login                    # ブラウザでログインして、この PC を許可する
npx wrangler dev                      # 手元で動かす
npx wrangler deploy                   # Cloudflare に公開する

npm create cloudflare は、Worker のひな形や、フレームワーク(React・Astro など)の雛形を選んでプロジェクトを作ってくれます。wrangler login は、ブラウザで Cloudflare にログインし、この PC から API を呼んでよいと許可する手順です。

wrangler deploy を実行すると、コードをまとめて Cloudflare に送り、数秒で世界中の拠点に行き渡ります。サーバーを選んだり、台数を決めたりする必要はありません。

このあと見るように、wrangler はデプロイだけでなく、D1 のデータベースを作る、秘密の値を登録する、本番のログを見る、といった仕事もこなします。Workers の開発は、ほぼ wrangler だけで完結すると考えてよいでしょう。

  • Cloudflare のすべて 34 ― Wrangler と Terraform
  • 3 / 14
  • wrangler:作る・試す・公開するを1つで
  • あなたのアカウント
  • wrangler
  • Workers
  • ゾーン
  • Terraform
  • Cloudflare API
  • D1・R2・KV
  • DNS レコード
  • Queues ほか
  • ルール・WAF
  • npm create cloudflare@latest # ひな形から作る
  • 最初に wrangler login でログイン
  • npx wrangler dev / deploy
  • npm で入る公式の CLI。Workers の開発はほぼ全部これで済む。

wrangler dev:手元で本物に近い形で動かす

開発中にいちばん使うのが wrangler dev です。手元の PC で Worker を動かし、ブラウザで http://localhost:8787 を開けば試せます。

手元で動かすときも、Cloudflare の本番と同じ実行環境(workerd という、Workers を動かしているソフトウェア)が使われます。「手元では動いたのに本番で動かない」が起きにくい作りです。ファイルを保存すると、自動で読み直されます。

D1(23号)・KV(20号)・R2(22号)などのバインディングも、手元では手元のデータで動きます。本番のデータを壊す心配がありません。

動かし方どこで動くか向いている場面
wrangler dev手元の PCふだんの開発。安全で速い
wrangler dev --remoteCloudflare の上本物のデータや網でしか確かめられないこと

API キーなどの秘密の値は、手元では .dev.vars というファイルに書きます。このファイルは Git に入れないようにします(.gitignore に足す)。本番の秘密の値は、後で見る wrangler secret put で登録します。

  • Cloudflare のすべて 34 ― Wrangler と Terraform
  • 4 / 14
  • wrangler dev:手元で本物に近い形で動かす
  • wrangler dev
  • wrangler dev --remote
  • 手元の PC で動かす(既定)
  • Cloudflare の上で動かす
  • Workers と同じ実行環境で動く
  • 本物のデータ・本物の網で試す
  • D1・KV・R2 は手元のデータ
  • 本番のデータを壊さないよう注意
  • 保存すると自動で読み直す
  • 手元より反応が遅い
  • 手元の秘密の値は .dev.vars に書く(Git に入れない)
  • 手元の実行環境で試し、D1・KV なども手元の偽物で動く。

設定ファイル:wrangler.jsonc に全部書く

Worker の設定は、プロジェクトの設定ファイルに書きます。形式は wrangler.jsonc(コメントが書ける JSON)と wrangler.toml の2つがあり、中身は同じです。Cloudflare は新しいプロジェクトには jsonc を勧めています。新しい機能の一部は JSON の設定でしか使えないからです。

jsonc
{
  "name": "my-app",
  "main": "src/index.ts",
  "compatibility_date": "2026-09-01",
  "compatibility_flags": ["nodejs_compat"],
  "d1_databases": [{ "binding": "DB", "database_name": "app", "database_id": "…" }],
  "r2_buckets": [{ "binding": "FILES", "bucket_name": "app-files" }],
  "vars": { "MODE": "production" }
}
項目意味
nameWorker の名前。URL にも使われる
main最初に読み込むファイル
compatibility_dateWorkers の動き方をこの日付の時点に固定する。勝手に動きが変わらないための仕組み
バインディングD1・R2・KV・Queues など、使う機能とその名前
vars秘密ではない設定値。コードからは env.MODE

このファイルを Git に入れておけば、「どの Worker が、どのデータベースを使っているか」が、コードといっしょに履歴に残ります。wrangler types を実行すると、このファイルから env の型が作られます。

  • Cloudflare のすべて 34 ― Wrangler と Terraform
  • 5 / 14
  • 設定ファイル:wrangler.jsonc に全部書く
  • {
  • name
  • Worker の名前
  • "name": "my-app",
  • "main": "src/index.ts",
  • main
  • 入口のファイル
  • "compatibility_date": "2026-09-01",
  • "d1_databases": [{ "binding": "DB", … }],
  • compat…
  • 動作を固定する日付
  • "r2_buckets": [{ "binding": "FILES", … }],
  • bindings
  • "vars": { "MODE": "prod" }
  • D1・R2 など
  • }
  • vars
  • 秘密でない値
  • 名前・入口・日付・バインディング。新しく作るなら jsonc 形式。

環境を分ける:検証と本番を1つのファイルで

本番に出す前に、検証用の環境で確かめたいものです。wrangler では、1つの設定ファイルの中に環境(env)を書き分けられます。

jsonc
{
  "name": "my-app",
  "d1_databases": [{ "binding": "DB", "database_name": "app", "database_id": "…" }],
  "env": {
    "staging": {
      "vars": { "MODE": "staging" },
      "d1_databases": [{ "binding": "DB", "database_name": "app-staging", "database_id": "…" }]
    }
  }
}

公開するときに --env で環境を選びます。

コマンド公開される Worker使うデータベース
npx wrangler deploymy-appapp(本番)
npx wrangler deploy --env stagingmy-app-stagingapp-staging(検証)

環境ごとに別の Worker として公開されるので、検証を壊しても本番には影響しません。

注意したいのは、バインディングや vars は、上の階層から引き継がれないことです。env.staging にデータベースを書き忘れると、検証の Worker にはデータベースが無い、ということになります。環境ごとに、必要なバインディングを全部書きましょう。

  • Cloudflare のすべて 34 ― Wrangler と Terraform
  • 6 / 14
  • 環境を分ける:検証と本番を1つのファイルで
  • "env": {
  • "staging": {
  • my-app-staging(検証)
  • "d1_databases": [{ "binding": "DB",
  • "database_name": "app-staging", … }]
  • }
  • }
  • my-app(本番)
  • wrangler deploy --env staging → 検証へ
  • wrangler deploy → 本番へ
  • バインディングは env ごとに書き直す(上から引き継がれない)
  • env ごとに名前・バインディングを変え、--env で選んで公開する。

よく使うコマンド:秘密・ログ・データ

wrangler には、デプロイ以外にも便利なコマンドがたくさんあります。

コマンド仕事
wrangler secret put API_KEY秘密の値を登録する。入力した値は画面にも設定ファイルにも残らない
wrangler tail本番の Worker のログを、その場で流して見る
wrangler d1 execute app --remote --command "…"本番の D1 に SQL を実行する(23号)
wrangler r2 object put app-files/logo.png --file ./logo.pngR2 にファイルを置く(22号)
wrangler kv key put --binding=KV "key" "value"KV に値を書く(20号)
wrangler queues create / wrangler hyperdrive createキューや Hyperdrive の設定を作る(24・26号)
wrangler versions list / wrangler rollback公開した版の一覧を見る・1つ前の版に戻す

秘密の値(API キー・パスワード)は、vars に書いてはいけません。vars は設定ファイルに平文で残り、Git にも入ってしまいます。secret put で登録した値は暗号化して保存され、コードからは env.API_KEY として読めます。

wrangler tail は、本番で何が起きているかを見るのに欠かせません。console.log の出力やエラーが、その場で流れてきます。長く保存して調べたいなら、分析とログ(32号)の機能を使います。

  • Cloudflare のすべて 34 ― Wrangler と Terraform
  • 7 / 14
  • よく使うコマンド:秘密・ログ・データ
  • wrangler secret put API_KEY
  • 秘密の値を登録(画面にも残さない)
  • wrangler tail
  • 本番のログをその場で流して見る
  • wrangler d1 execute … --remote
  • 本番の D1 に SQL を実行
  • wrangler r2 object put …
  • R2 にファイルを置く
  • wrangler kv key put …
  • KV に値を書く
  • wrangler rollback
  • 1つ前の版に戻す
  • wrangler --help と、各コマンドの --help で使い方が出る
  • パスワードは secret、本番のログは tail、データは d1・r2・kv。

Terraform:アカウントの設定を、コードで持つ

Terraform は、HashiCorp が作っている、インフラをコードで管理するための道具です。AWS や Google Cloud でも広く使われていて、Cloudflare 用の部品(プロバイダー)は Cloudflare が公式に提供しています。

Terraform の考え方は「あるべき姿を書く」です。「DNS の www という行は、この値であるべき」と書いておくと、Terraform が今の姿と比べて、足りないものを作り、違うものを直し、要らないものを消します。

手順コマンド中身
準備terraform initプロバイダーを取ってくる
差分を見るterraform plan何が作られ、何が変わり、何が消えるかを表示する
反映するterraform apply差分を Cloudflare に反映する

いちばんの価値は plan です。反映する前に「何が変わるか」を目で確かめられます。プルリクエストに plan の結果を貼ってレビューしてもらえば、DNS の書き間違いでサイトが止まる、といった事故を防げます。

管理画面で作った既存の設定を Terraform に取り込むには、Cloudflare の cf-terraforming という道具で、今の設定を Terraform のファイルとして書き出せます。

  • Cloudflare のすべて 34 ― Wrangler と Terraform
  • 8 / 14
  • Terraform:アカウントの設定を、コードで持つ
  • あなたのアカウント
  • wrangler
  • Workers
  • ゾーン
  • Terraform
  • Cloudflare API
  • D1・R2・KV
  • DNS レコード
  • Queues ほか
  • ルール・WAF
  • terraform plan で「何が変わるか」を見て、terraform apply で反映する
  • 公式の Cloudflare プロバイダーを使う。既存の設定は cf-terraforming で書き出せる
  • あるべき姿を書き、差分を見てから反映する。DNS やルールに向く。

Terraform の書き方:DNS レコードを1つ

Terraform の設定は、.tf というファイルに HCL という書き方で書きます。DNS の行を1つ作る例です。

terraform {
  required_providers {
    cloudflare = {
      source  = "cloudflare/cloudflare"
      version = "~> 5"
    }
  }
}

provider "cloudflare" {}   # トークンは環境変数 CLOUDFLARE_API_TOKEN から読む

resource "cloudflare_dns_record" "www" {
  zone_id = var.zone_id
  name    = "www"
  type    = "CNAME"
  content = "my-app.pages.dev"
  proxied = true   # オレンジの雲(01号)
  ttl     = 1      # 1 は「自動」
}

resource が「あるべき姿」の1つです。同じように、ゾーンの設定、リダイレクトや WAF のルール(09・05号)、Access のアプリ(16号)なども書けます。

Terraform は、今の姿を state(状態のファイル)に記録します。チームで使うときは、state を各自の PC に置かず、共有の置き場に置きます。R2(22号)は S3 と同じ形で使えるので、state の置き場としても使えます。

プロバイダーは版によって書き方が変わることがあります。とくに版5では資源の名前がいくつか変わりました(DNS は cloudflare_dns_record)。古い記事の例をそのまま使わず、使っている版の説明を見てください。

  • Cloudflare のすべて 34 ― Wrangler と Terraform
  • 9 / 14
  • Terraform の書き方:DNS レコードを1つ
  • resource "cloudflare_dns_record" "www" {
  • plan
  • 差分を見る
  • zone_id = var.zone_id
  • name = "www"
  • apply
  • 反映する
  • type = "CNAME"
  • content = "my-app.pages.dev"
  • state
  • 今の姿の記録
  • proxied = true
  • ttl = 1
  • }
  • state は共有の置き場(例:R2)に置く
  • resource を書いて plan → apply。変更はレビューを通してから。

API トークン:必要な権限だけを渡す

wrangler も Terraform も、Cloudflare API を呼ぶために資格情報が要ります。手元では wrangler login のようにブラウザでログインできますが、CI や Terraform では API トークンを使います。

API トークンは、管理画面の「My Profile」の「API Tokens」で作ります。作るときに、できることの範囲を細かく決められます。

決められること例
権限「Workers Scripts を編集」「DNS を編集」「ゾーンの設定を読む」など
範囲どのアカウントか、どのゾーン(ドメイン)か
使える IPCI の IP からだけ使える
有効期限3か月で切れる

大事なのは、最小権限の考え方です。Terraform で DNS だけを管理するなら、トークンには「そのゾーンの DNS を編集」だけを付けます。CI で Worker を公開するなら、「Workers を編集」だけです。万一トークンが漏れても、被害をその範囲に閉じ込められます。

古くからある Global API Key は、アカウントのすべてを操作できる鍵です。道具に渡すのは避けましょう。トークンは、道具ごと・用途ごとに分けて作り、要らなくなったら消します。

  • Cloudflare のすべて 34 ― Wrangler と Terraform
  • 10 / 14
  • API トークン:必要な権限だけを渡す
  • あなたのアカウント
  • wrangler
  • API トークン
  • Workers
  • ゾーン
  • Terraform
  • Cloudflare API
  • D1・R2・KV
  • DNS レコード
  • Queues ほか
  • ルール・WAF
  • CI(自動デプロイ)
  • 例:Terraform 用は「このゾーンの DNS を編集」だけ。CI 用は「Workers を編集」だけ
  • 有効期限・使える IP も付けられる。Global API Key は使わない
  • 全権限の鍵は使わない。道具ごとに、範囲をしぼったトークンを作る。

CI:main に入ったら、自動で公開する

手元の PC から wrangler deploy するのは、最初のうちは手軽です。でもチームで開発するなら、レビューを通ったコードだけが、自動で本番に出る形にしたいものです。これが CI(継続的インテグレーション)からのデプロイです。

GitHub を使っているなら、Cloudflare 公式の wrangler-action が使えます。

name: deploy
on:
  push:
    branches: [main]
jobs:
  deploy:
    runs-on: ubuntu-latest
    steps:
      - uses: actions/checkout@v4
      - uses: cloudflare/wrangler-action@v3
        with:
          apiToken: ${{ secrets.CLOUDFLARE_API_TOKEN }}
          accountId: ${{ secrets.CLOUDFLARE_ACCOUNT_ID }}

API トークンとアカウント ID は、リポジトリの Secrets に入れます。ファイルに直接書いてはいけません。

もっと手軽な方法として、管理画面で Git のリポジトリをつなぐだけで、push のたびに Cloudflare がビルドと公開をしてくれる Workers Builds もあります。プルリクエストごとにプレビューの URL を作ることもできます。Terraform も同じように、プルリクエストで plan の結果を表示し、main に入ったら apply する、という流れを CI に組むのが定番です。

  • Cloudflare のすべて 34 ― Wrangler と Terraform
  • 11 / 14
  • CI:main に入ったら、自動で公開する
  • あなたのアカウント
  • wrangler
  • API トークン
  • Workers
  • ゾーン
  • Terraform
  • Cloudflare API
  • D1・R2・KV
  • DNS レコード
  • Queues ほか
  • ルール・WAF
  • CI(自動デプロイ)
  • GitHub Actions なら公式の wrangler-action。トークンは Secrets に入れる
  • リポジトリをつなぐだけの Workers Builds(管理画面から設定)もある
  • 手元から deploy しない。レビュー済みのコードだけが本番に出る。

料金と制限:道具は無料。API には回数の上限

wrangler も、Terraform の Cloudflare プロバイダーも、それ自体は無料です。

道具料金
wrangler無料。npm の公式パッケージ
Cloudflare の Terraform プロバイダー無料。Terraform の公式の登録所から取ってくる
Terraform 本体コマンドラインの道具は無料で使える。オープンソースの互換の道具 OpenTofu でも使える
Workers Builds無料プランでも使える(ビルドの時間などに上限がある)

お金がかかるのは、道具で作ったものの使用量です。Worker のリクエストや、D1・R2 の使用量は、それぞれの号の料金のとおりに数えられます。

気をつけたいのは、Cloudflare API を呼べる回数に上限があることです。短い時間にあまりにたくさん呼ぶと、しばらく断られます。何千もの DNS レコードを一度に apply するような場面では、この上限に当たることがあります。上限に当たったら、少し待ってからやり直すか、変更を分けて反映します。

※2026年9月時点の情報です。料金・上限は変わるので、公式の Pricing と Limits のページで確かめてください。

  • Cloudflare のすべて 34 ― Wrangler と Terraform
  • 12 / 14
  • 料金と制限:道具は無料。API には回数の上限
  • wrangler
  • 無料(npm の公式パッケージ)
  • Cloudflare プロバイダー
  • 無料(Terraform 公式の登録所)
  • Terraform 本体
  • CLI は無料。OpenTofu でも使える
  • API の回数
  • 短い時間に呼べる回数に上限がある
  • 料金がかかるもの
  • 作った Workers・D1 などの使用量
  • 大量のレコードを一度に apply すると、API の回数の上限に当たることがある
  • 2026年9月時点。料金・上限は変わるので公式の Pricing / Limits で確かめる
  • wrangler も Terraform のプロバイダーも無料。払うのは使った機能の分。

よくある落とし穴

wrangler と Terraform でつまずきやすい点です。

落とし穴何が起きるかどうするか
全権限の鍵を CI に置く漏れたらアカウントごと乗っ取られる最小権限の API トークンを、用途ごとに作る
Terraform の管理下を手で直す次の apply で、手で直した内容が元に戻される管理下のものは必ずコードを直す
同じものを2つの道具で管理2つの道具が互いの変更を上書きし合う「これは Terraform、これは wrangler」と担当を決める
env のバインディングの書き忘れ検証の Worker にデータベースが無い、または本番を触るenv ごとに全部書く
秘密を vars や Git に書く誰でも読める状態で残るsecret put と .dev.vars(Git に入れない)
compatibility_date を放置新しい機能や修正が使えない上げるときは検証の環境で確かめてから
state を手元に置く人によって見えている姿が違い、壊れる共有の置き場に置き、同時に apply しないようにする

いちばん多いのは2つめです。Terraform で管理しているものを、急ぎのときに管理画面で直してしまうと、次に誰かが apply したときに、何の警告もなく元に戻ります。コードで管理すると決めたら、コード以外から変えないのが鉄則です。

  • Cloudflare のすべて 34 ― Wrangler と Terraform
  • 13 / 14
  • よくある落とし穴
  • 全権限の鍵を CI に置く → 漏れたらアカウントごと取られる
  • Terraform の管理下を管理画面で手直し → 次の apply で戻される
  • env にバインディングを書き忘れ → 検証が本番の DB を触る
  • 秘密の値を vars や Git に書く → secret put と .dev.vars へ
  • compatibility_date を固定し、上げるときは検証で確かめる
  • 権限の広い鍵、手作業との混在、env の書き忘れ、秘密の置き場所。

まとめ:設定もコードにして、履歴とレビューを

この号で見たことをまとめます。

項目内容
なぜ要るのか手作業の設定は、履歴・レビュー・作り直しができない
wranglerWorkers と、そのまわりを作って・試して・公開する公式の CLI
基本のコマンドdev・deploy・secret put・tail・d1/r2/kv
設定ファイルwrangler.jsonc。バインディングもここに。環境は env で分ける
Terraformゾーン・DNS・ルールなど、アカウントの設定を「あるべき姿」で書く
流れplan で差分を見て、apply で反映する
API トークン用途ごとに最小の権限で作る。Global API Key は使わない
CIwrangler-action や Workers Builds で、レビュー済みのコードだけを公開

このマガジンのほかの号で見た機能は、ほとんどがこの2つの道具で扱えます。D1(23号)・Queues(24号)・Workflows(25号)・Hyperdrive(26号)・Containers(27号)は wrangler で、DNS(01号)・ルール(09号)・WAF(05号)・Access(16号)は Terraform で、というのが1つの目安です。

これで「Cloudflare のすべて」の最終号です。気になる機能の号に戻り、小さく試すところから始めてみてください。

  • Cloudflare のすべて 34 ― Wrangler と Terraform
  • 14 / 14
  • まとめ:設定もコードにして、履歴とレビューを
  • あなたのアカウント
  • wrangler
  • API トークン
  • Workers
  • ゾーン
  • Terraform
  • Cloudflare API
  • D1・R2・KV
  • DNS レコード
  • Queues ほか
  • ルール・WAF
  • CI(自動デプロイ)
  • wrangler:dev・deploy・secret・tail・d1/r2/kv。設定は wrangler.jsonc
  • Terraform:ゾーン・DNS・ルール。トークンは最小の権限で、CI から公開
  • 開発は wrangler、アカウントの設定は Terraform、公開は CI から。

0 件のコメント

読み込み中…

権利侵害・不適切な内容の連絡: [email protected]