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Cloudflare のすべて ― 1機能ずつ、仕組みと存在理由から / 全35本

Cloudflare 04:DDoS 対策 ― 網の大きさで洪水を受け止める

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アニメモ公式
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第2版
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全15

DDoS 攻撃とは何か、L3/4 と L7 の攻撃の違い、エニーキャストで攻撃を世界中の拠点に分散して吸収する仕組み、全プランで量の上限なく提供される自動防御、そしてオリジンの IP が漏れると守りが無意味になる理由と、裏口の閉じ方を説明します。

攻撃の洪水が来ると、サーバーは落ちる

Web サイトを公開すると、いつか必ず出会うのが DDoS 攻撃です。ある日突然、ふだんの何百倍、何万倍ものアクセスが押し寄せ、サイトが開かなくなります。

なぜ落ちるのでしょうか。サーバーには、受け止められる量に上限があるからです。上限は2つあります。1つは回線の太さです。1秒あたりに流せるデータの量には限りがあり、それを超える小包が届くと、回線そのものが詰まります。もう1つは処理の力です。リクエスト1本ごとに、プログラムを動かし、データベースを引き、応答を作ります。その力にも限りがあります。

どちらかがあふれると、本物の利用者のリクエストも一緒に届かなくなります。お店の入口に人が殺到して、買い物客が入れなくなるのと同じです。

この号では、Cloudflare がこの洪水をどう受け止めているのか、そして利用者の側で何をしないと守りが無意味になるのかを見ていきます。後者のほうが、実はずっと大事です。

※この号の内容は 2026年9月時点の情報です。料金・提供範囲・上限は変わることがあるので、導入のときは必ず公式のドキュメントで確かめてください。

  • Cloudflare のすべて 04 ― DDoS 対策
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  • 攻撃の洪水が来ると、サーバーは落ちる
  • 攻撃
  • 攻撃
  • 攻撃
  • 攻撃
  • 攻撃
  • 攻撃
  • 利用者
  • オリジン
  • ブラウザ・アプリ
  • あなたのサーバー
  • 攻撃
  • 攻撃
  • 攻撃
  • 攻撃
  • 攻撃
  • 攻撃
  • 世界中の乗っ取られた機械から、一斉にリクエストや小包が届く
  • 本物の利用者のリクエストも、洪水に埋もれて届かなくなる
  • 1台のサーバーは、回線と処理の太さ以上は受け止められない。

DDoS は「たくさんの機械から、一斉に」

DDoS は Distributed Denial of Service の略で、日本語では分散型サービス妨害と呼びます。

「サービス妨害」は、盗むのではなく止めるのが目的だという意味です。ネットショップが1時間止まれば、その間の売上はゼロになり、「あのサイトはよく落ちる」という評判も残ります。競合への嫌がらせ、身代金の要求、抗議活動など、動機はさまざまです。

「分散型」は、攻撃がたくさんの機械から同時に来るという意味です。攻撃者は、乗っ取ったパソコン、ネットワークカメラ、家庭用ルーター、クラウドのサーバーなどを何万台も束ねて使います。この群れをボットネットと呼びます。

1台から来る攻撃なら、その IP アドレスを拒否すれば終わりです。ところが何万台に分散されると、1つずつ拒否していくのは現実的ではありません。しかも、送り元の IP を偽る攻撃もあります。

だから DDoS には、受け止める側がもっと大きいという形でしか根本的に対抗できません。これが、1台のサーバーではなく、世界規模の網である Cloudflare が役に立つ理由です。

  • Cloudflare のすべて 04 ― DDoS 対策
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  • DDoS は「たくさんの機械から、一斉に」
  • 攻撃
  • 攻撃
  • 攻撃
  • 攻撃
  • 攻撃
  • 攻撃
  • 応答なし
  • 利用者
  • オリジン
  • ブラウザ・アプリ
  • あなたのサーバー
  • 攻撃
  • 攻撃
  • 攻撃
  • 攻撃
  • 攻撃
  • 攻撃
  • DDoS=分散型サービス妨害。乗っ取られたパソコン・カメラ・サーバーの群れ(ボットネット)を使う
  • 目的は「盗む」ではなく「止める」。止まっている間、売上も信用も失う
  • 1台なら止められる。何万台に分散されると、IP で止めるのは無理。

攻撃には2つの層がある:L3/4 と L7

DDoS 攻撃は、どの層を狙うかで大きく2つに分かれます(L は OSI 参照モデルの層=Layer の意味です)。

層狙い例量の数え方
L3/4(ネットワーク層・トランスポート層)回線や機器を詰まらせるSYN フラッド、UDP の反射・増幅攻撃1秒あたりのビット数・小包の数
L7(アプリケーション層)アプリの処理を疲れさせるHTTP の GET を大量に送る、重い検索ページだけを叩く1秒あたりのリクエスト数

L3/4 の攻撃は、とにかく量で押し流します。たとえば「反射・増幅攻撃」では、攻撃者は送り元を被害者の IP に偽って、DNS などのサーバーに小さな問い合わせを大量に送ります。サーバーは大きな返事を被害者に送り返すので、被害者には何倍にも膨らんだ通信が届きます。

L7 の攻撃は、1本1本は普通の HTTP リクエストに見えます。ブラウザと同じようにページを取りに来るので、「量が多い」以外に見分ける手がかりが少なく、止めるのが難しい攻撃です。量が少なくても、データベースを重く使うページを狙えば、サーバーは簡単に疲れ切ります。

Cloudflare は、この両方をそれぞれ別の仕組みで見分けています。

  • Cloudflare のすべて 04 ― DDoS 対策
  • 3 / 15
  • 攻撃には2つの層がある:L3/4 と L7
  • L3/4(ネットワーク層)
  • L7(アプリケーション層)
  • 小包の量で回線を詰まらせる
  • 本物そっくりのリクエストで疲れさせる
  • SYN フラッド(接続の申し込みだけ大量)
  • HTTP フラッド(GET を大量に)
  • UDP の反射・増幅攻撃
  • 重い検索ページだけを狙い撃ち
  • 単位:1秒あたりのビット数・小包の数
  • 単位:1秒あたりのリクエスト数
  • L3/4 は量で押し流す。L7 は1本1本が普通に見えるので、見分けるのが難しい
  • 回線を詰まらせる攻撃と、アプリを疲れさせる攻撃。守り方が違う。

世界中の拠点で、分けて受け止める

Cloudflare の守りの土台は、00号で見たエニーキャストです。同じ IP アドレスを世界中の拠点が同時に名乗っているので、インターネットの小包は、それぞれ送り元にいちばん近い拠点に届きます。

ボットネットは世界中に散らばっています。すると攻撃も、ブラジルのボットはサンパウロの拠点へ、ヨーロッパのボットはロンドンの拠点へ、と自然に分散して届きます。1か所で受け止めるには大きすぎる攻撃でも、網全体で割れば、1つの拠点が受け持つ量はずっと小さくなります。

もう1つ大事なのは、攻撃を見分ける処理が、すべての拠点で動いていることです。攻撃の小包を拠点の中心の設備まで運んでから判定するのではなく、受け取ったその拠点のサーバーで判定し、その場で捨てます。攻撃が集中する場所をつくらない作りです。

さらに、たくさんのサイトを同じ網で守っているので、あるサイトを狙った新しい手口を見つけると、その知識がすぐに他のサイトの守りにも使われます。規模そのものが、守りの材料になっています。

  • Cloudflare のすべて 04 ― DDoS 対策
  • 4 / 15
  • 世界中の拠点で、分けて受け止める
  • Cloudflare のエッジ(世界中の拠点)
  • 東京
  • ロンドン
  • 利用者
  • 攻撃
  • 攻撃
  • 攻撃
  • 攻撃
  • 攻撃
  • 攻撃
  • オリジン
  • ブラウザ・アプリ
  • NY
  • サンパウロ
  • あなたのサーバー
  • 攻撃
  • 攻撃
  • 攻撃
  • 攻撃
  • 攻撃
  • 攻撃
  • 同じ IP を世界中の拠点が名乗るので、ボットネットの攻撃は各地の拠点に分散して届く
  • 1か所で受けるには大きすぎる攻撃も、網全体で割れば吸収できる
  • エニーキャストで、攻撃は発信元に近い拠点へ散らばる(00号)。

まず、回線を詰まらせる攻撃を落とす

エッジの中で最初に働くのが、ネットワーク層の DDoS ルールです。Cloudflare の管理画面では、「Network-layer DDoS Attack Protection」というマネージドルールセットとして見えます。

マネージドルールセットとは、Cloudflare が作り、Cloudflare が更新し続けるルールの束のことです。利用者はルールを1本も書く必要がありません。

このルールは、エッジに届く小包を常に見張り、SYN フラッドや反射攻撃のようなよく知られた攻撃の形と、量の急な増え方を見つけると、その特徴に当てはまる小包だけを捨てます。人が気づいて対応するのを待たず、多くの場合は数秒以内に自動で止まります。

図で、「攻撃」の札がエッジの下のほうに溜まっているのは、ここで捨てられたことを表しています。一方で、普通のリクエストは止められずにオリジンまで進みます。

利用者から見ると、この層の守りは何も設定しなくても、プロキシを通した瞬間から効いています。逆に言えば、プロキシを通っていない通信は守られません。この点は、あとのページでもう一度出てきます。

  • Cloudflare のすべて 04 ― DDoS 対策
  • 5 / 15
  • まず、回線を詰まらせる攻撃を落とす
  • Cloudflare のエッジ(世界中の拠点)
  • ネットワーク層の DDoS ルール(L3/4)
  • 正常
  • HTTP の DDoS ルール(L7)
  • 利用者
  • WAF・レート制限・ボット(05〜07)
  • オリジン
  • ブラウザ・アプリ
  • キャッシュ(02)
  • あなたのサーバー
  • 攻撃
  • 攻撃
  • 攻撃
  • 攻撃
  • 攻撃
  • 攻撃
  • 攻撃
  • 攻撃
  • 攻撃
  • 攻撃
  • 攻撃
  • 攻撃
  • ネットワーク層の攻撃は、エッジで自動で検知して捨てる。設定は不要。

次に、HTTP の洪水を見分ける

L7 の攻撃を受け持つのが、HTTP の DDoS ルール(HTTP DDoS Attack Protection のマネージドルールセット)です。これも全プランで最初から有効になっています。

HTTP の攻撃は、1本1本が普通のリクエストに見えるので、「量が多いから止める」だけでは、人気が出て本当にアクセスが増えたときにも止めてしまいます。そこで、このルールは攻撃の群れの特徴を見ます。

見るもの例
送り方の癖ブラウザが普通は送らないヘッダーの並び、古い通信ライブラリの特徴
量の変化ふだんと比べて、ある種類のリクエストだけが急に増えた
エラーの増え方オリジンが返すエラーが急に増えた(オリジンが苦しんでいる印)

同じ特徴を持つリクエストの群れを「指紋」のように見つけ、その群れだけを止めます。だから、同じ時間帯に来ている本物の利用者は、そのまま通ることができます。

誤って普通のアクセスを止めてしまう(誤検知)ときは、管理画面でルールの感度を下げたり、動作を変えたりできます。どこまで細かく変えられるかは、プランによって違います。

  • Cloudflare のすべて 04 ― DDoS 対策
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  • 次に、HTTP の洪水を見分ける
  • Cloudflare のエッジ(世界中の拠点)
  • ネットワーク層の DDoS ルール(L3/4)
  • 正常
  • HTTP の DDoS ルール(L7)
  • 利用者
  • WAF・レート制限・ボット(05〜07)
  • オリジン
  • ブラウザ・アプリ
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  • あなたのサーバー
  • 攻撃
  • 攻撃
  • 攻撃
  • 攻撃
  • 攻撃
  • 攻撃
  • 攻撃
  • 攻撃
  • 攻撃
  • 攻撃
  • 攻撃
  • 攻撃
  • リクエストの特徴(送り方・頭の並び・量の急増)から、攻撃の群れを指紋のように見分ける
  • 見分けた群れだけを止めるので、同じ時間に来た本物の利用者は通る
  • HTTP の DDoS ルールも、全プランで最初から有効になっている。

量に上限なし・追加料金なし、全プランで

Cloudflare の DDoS 対策でいちばん大きな特徴は、全プランで、量の上限なく(unmetered)提供されていることです。無料プランも例外ではありません。

これは当たり前のことではありません。多くのクラウドや CDN は、使った通信量に応じて料金を請求します。そのため昔は、DDoS を受けると「サイトは守られたが、通信量の請求書が跳ね上がった」ということが起こりえました。攻撃者から見れば、相手を止められなくても、お金を使わせることができたわけです。

Cloudflare は 2017年に「攻撃の大きさで料金を変えない」方針を打ち出し、今もそれを続けています。攻撃を受けたから契約を打ち切られる、ということもありません。

項目内容
対象のプランFree・Pro・Business・Enterprise のすべて
量の上限なし
攻撃時の追加料金なし
守られる範囲Cloudflare のプロキシを通る通信だけ

最後の行が大事です。「全部守ってくれる」のではなく、「通ってきたものを守ってくれる」のです。次のページで、その意味を見ます。

  • Cloudflare のすべて 04 ― DDoS 対策
  • 7 / 15
  • 量に上限なし・追加料金なし、全プランで
  • DDoS の自動防御
  • Free・Pro・Business・Enterprise のすべて
  • 量の上限
  • なし(unmetered)。攻撃が大きくても止めない
  • 攻撃時の追加料金
  • なし。帯域の請求が跳ね上がる心配がない
  • 守られる範囲
  • プロキシ(オレンジの雲)を通る通信だけ
  • 細かい調整
  • 感度や動作の上書き。できる範囲はプランによる
  • 攻撃の大きさで請求が増えることはない。無料プランでも同じ。

オリジンの IP が漏れると、守りを素通りされる

ここまでの守りは、すべてエッジで行われています。エッジは、オリジンの前に立つ門です。攻撃者が門を叩いてくれる限り、網の大きさで受け止められます。

では、攻撃者がオリジンの本当の IP アドレスを知っていたらどうなるでしょうか。攻撃者は、Cloudflare の名前(ドメイン)を使わず、その IP に直接小包を送ればよいのです。小包はエッジを一度も通らずに、オリジンに届きます。図の赤い回り道が、それです。

こうなると、Cloudflare の網がどれだけ大きくても関係ありません。守りの外側から、あなたのサーバー1台の回線に直接洪水が流れ込みます。

Cloudflare を使う意味の半分は、オリジンの IP を隠すことにあります。プロキシを通すと、DNS で example.com を引いた人に返るのは Cloudflare の IP です。オリジンの IP は表に出ません。

ところが、この「隠す」は意外と簡単に破れます。次のページで、よくある漏れ口を見ていきます。

  • Cloudflare のすべて 04 ― DDoS 対策
  • 8 / 15
  • オリジンの IP が漏れると、守りを素通りされる
  • Cloudflare のエッジ(世界中の拠点)
  • ネットワーク層の DDoS ルール(L3/4)
  • HTTP の DDoS ルール(L7)
  • 利用者
  • WAF・レート制限・ボット(05〜07)
  • オリジン
  • ブラウザ・アプリ
  • キャッシュ(02)
  • あなたのサーバー
  • 攻撃
  • 攻撃
  • 攻撃
  • 攻撃
  • 攻撃
  • 攻撃
  • 攻撃者がオリジンの IP を知ると、エッジを通らず直接送れる
  • エッジは「前の門」。裏口の番号を知られたら、門の意味がない。

IP はどこから漏れるのか

オリジンの IP が漏れる道は、たいてい Cloudflare の外側にあります。

漏れ口何が起きるか
グレーの雲の行ftp.example.com や direct.example.com のような、プロキシしない行が同じサーバーを指している
メールMX の行が同じサーバーを指している。送ったメールのヘッダーに、送り元の IP が残る
昔の DNSCloudflare に移る前の DNS の記録を、履歴として集めているサイトがある
証明書サーバーの IP に直接つなぐと、example.com の証明書が返ってくる。これを総当たりで探す調査サービスがある
外への通信サーバーが Webhook などで外に通信すると、相手に送り元の IP が見える

対策は2つです。1つは、漏れたと思ったら IP を変えること。Cloudflare に移る前から同じ IP を使っているなら、履歴に残っている可能性が高いので、移行と同時に変えるのが安全です。

もう1つは、漏れても入れないようにすることです。こちらが本命で、次のページで見ます。

  • Cloudflare のすべて 04 ― DDoS 対策
  • 9 / 15
  • IP はどこから漏れるのか
  • グレーの雲(プロキシしない)の DNS の行が、同じサーバーを指している
  • MX の行やメールのヘッダーに、サーバーの IP が出ている
  • Cloudflare に入れる前の DNS の記録が、履歴サイトに残っている
  • サーバーから外へ送る通信(Webhook など)に、送信元として IP が出る
  • 直すなら:IP を変える + 入口を Cloudflare だけに絞る
  • よくある漏れ口は、DNS・メール・証明書・昔の記録。

裏口を閉じる:Cloudflare からしか受けない

IP を隠し通すのは難しいので、本当に頼るべきなのは「知られても入れない」状態です。

いちばん基本の方法は、オリジンのファイアウォールで、Cloudflare の IP 範囲からの接続だけを許可することです。Cloudflare は、自分たちが使う IP の範囲を https://www.cloudflare.com/ips/ で公開しています。Web の入口(443番ポートなど)はこの範囲だけに開き、それ以外は拒否します。クラウドを使っているなら、セキュリティグループなどで同じことができます。

こうすれば、攻撃者が IP を知って直接送ってきても、門前払いになります。ただし、ファイアウォールで捨てる前に回線自体が詰まるほどの量が来た場合は、守りきれないこともあります。そこで、さらに強い方法もあります。

方法中身号
IP 範囲で絞るCloudflare の IP だけ受けるこの号
証明書で確かめるCloudflare だけが持つ証明書でつないでくる相手だけ受ける(Authenticated Origin Pulls)03
Tunnelオリジンから Cloudflare へ外向きにつなぐ。受け付けるポートを1つも開けない15

Tunnel を使うと、そもそも外から入る口がなくなるので、IP が漏れても攻撃の宛先になりません。

  • Cloudflare のすべて 04 ― DDoS 対策
  • 10 / 15
  • 裏口を閉じる:Cloudflare からしか受けない
  • Cloudflare のエッジ(世界中の拠点)
  • ネットワーク層の DDoS ルール(L3/4)
  • HTTP の DDoS ルール(L7)
  • 利用者
  • WAF・レート制限・ボット(05〜07)
  • オリジン
  • ブラウザ・アプリ
  • キャッシュ(02)
  • 入口を絞った
  • 攻撃
  • 攻撃
  • 攻撃
  • 攻撃
  • 攻撃
  • 攻撃
  • Cloudflare 以外からは門前払い。Tunnel(15号)ならポートも開けない
  • オリジンのファイアウォールで、Cloudflare の IP 範囲だけを許可する。

導入と設定:プロキシを通し、裏口を閉じる

DDoS 対策そのものには、「オンにする」ボタンがありません。プロキシを通した時点で、もう効いています。導入でやることは、その守りに穴を開けないことです。

順番やること補足
1ドメインを追加し、Web の行をすべてオレンジの雲にする01号。グレーのまま残った行がないか見直す
2オリジンの IP を変える以前の IP が履歴に残っている場合
3オリジンの入口を、Cloudflare からだけに絞るIP 範囲で許可、または Tunnel(15号)
4攻撃が止まらないときだけ I'm Under Attack モードをオン全員に確認画面を出す最終手段

3のオリジン側の設定は、Ubuntu の ufw なら次のようになります(IPv6 の範囲 ips-v6 も同じように許可します)。

# Cloudflare の IPv4 の範囲からだけ、443番を許可する
for ip in $(curl -s https://www.cloudflare.com/ips-v4); do
  sudo ufw allow from "$ip" to any port 443 proto tcp
done
# それ以外からの 443番は拒否する
sudo ufw deny 443/tcp

範囲の一覧はまれに変わるので、定期的に取り直します。Cloudflare の側では、ふだんは何もしなくて構いません。調整が必要になるのは、次のような場面です。

場面管理画面での操作
正しいアクセスが止められたセキュリティの DDoS の設定で、HTTP DDoS のルールの感度を下げる・動作を変える
L7 の攻撃が抜けてくる一時的に I'm Under Attack モードをオン。落ち着いたら戻す
特定のページが狙われるWAF(05号)やレート制限(06号)のルールを足す

I'm Under Attack モードは、すべての訪問者にブラウザで短い確認を通ってもらう非常ボタンです。アプリや API のようにブラウザではない相手も止めてしまうので、ずっとオンにはしません。

  • Cloudflare のすべて 04 ― DDoS 対策
  • 11 / 15
  • 導入と設定:プロキシを通し、裏口を閉じる
  • # オリジン(例:ufw)
  • # Cloudflare 側(管理画面)
  • # 公開 IP 一覧 cloudflare.com/ips
  • セキュリティ > DDoS
  • for ip in $(curl -s \
  • HTTP DDoS の感度・動作を上書き
  • https://www.cloudflare.com/ips-v4); do
  • 誤検知なら感度を下げる
  • ufw allow from $ip to any port 443
  • 概要 > I'm Under Attack
  • done
  • 全員に確認画面を出す
  • ufw deny 443
  • オンにするボタンは無い。全部プロキシに通し、オリジンの門を絞る。

料金と制限

基本の DDoS 対策は、全プランで無料・量の上限なしです。上位のプランや製品で増えるのは、主に細かく調整する力と守れる範囲です。

項目内容
全プラン共通L3/4 と L7 の自動防御、量の上限なし、I'm Under Attack モード
上位のプランルールの上書きの細かさ、攻撃の通知や分析の詳しさが増える
Web 以外(TCP/UDP)SSH やゲームサーバーなどは Spectrum を通す(12号)
ネットワーク全体会社の IP の範囲ごと守る Magic Transit(33号)

制限というより前提として覚えておきたいのは、守られるのは Cloudflare のプロキシを通る通信だけ、ということです。グレーの雲の行、漏れた IP への直接攻撃、Cloudflare を通さないメールやゲームの通信は、この号の守りの外です。

どの機能がどのプランに含まれるかは、見直されることがあります。この号は 2026年9月時点の情報です。導入のときは、公式の料金ページとドキュメントで最新の内容を確かめてください。

  • Cloudflare のすべて 04 ― DDoS 対策
  • 12 / 15
  • 料金と制限
  • 全プラン
  • L3/4・L7 の自動防御、量の上限なし、I'm Under Attack
  • 上位プラン
  • ルールの上書きの細かさ・通知・分析が増える
  • HTTP 以外の TCP/UDP
  • Spectrum(12号)を通す
  • ネットワークごと
  • Magic Transit(33号)。企業向け
  • 守られないもの
  • プロキシを通らない行・漏れた IP への直接攻撃
  • 2026年9月時点。提供範囲は変わるので公式で確かめること
  • 基本の防御は無料。Web 以外や網ごとの保護は別の製品。

よくある落とし穴

DDoS 対策でつまずくのは、たいてい Cloudflare の設定ではなく、その周りです。

落とし穴なぜ困るかどうするか
オリジンが世界中から受け付けたままIP が漏れた瞬間に素通りされるCloudflare の IP だけ許可、または Tunnel
同じサーバーにグレーの雲の行があるそこから IP が分かる行を消すか、別のサーバーに分ける
Under Attack を常にオンスマホアプリや API、外部サービスからの通信まで止まる攻撃中だけオンにする
キャッシュが効いていないL7 の攻撃が毎回オリジンまで届く静的なファイルはキャッシュする(02号)
ログの IP が全部 Cloudflare利用者の IP で調べられないCF-Connecting-IP を記録する

とくに4つ目は見落としがちです。キャッシュが効いているページは、攻撃がエッジで返されてオリジンまで来ません。速くするための設定が、そのまま守りにもなるのです。

もう1つ、「Cloudflare を入れたから安心」と思って、オリジン側のソフトウェアの更新を怠るのも危険です。DDoS 対策は洪水を止めるものであって、脆弱性を突く攻撃を止めるのは WAF(05号)の仕事です。

  • Cloudflare のすべて 04 ― DDoS 対策
  • 13 / 15
  • よくある落とし穴
  • オレンジの雲にしたのに、オリジンは世界中から受け付けたまま
  • 同じサーバーにメール(MX)や FTP の行が、グレーの雲で残っている
  • Under Attack を常にオン。API やアプリの通信まで止めてしまう
  • キャッシュしないページばかりで、L7 の攻撃がオリジンに届く
  • キャッシュを効かせる(02号)ほど、攻撃にも強くなる
  • 守りの穴の多くは、Cloudflare の外側にある。

他の号とのつながり

DDoS 対策は、エッジのいちばん前にいる守りです。ここで洪水を止めたあと、残った「普通に見えるけれど悪いリクエスト」は、後ろにいる別の機能が止めます。

号機能DDoS 対策との関係
02キャッシュエッジで返せる分、攻撃がオリジンに届かない
03SSL/TLS証明書でオリジンへの接続元を確かめる
05WAF脆弱性を突く1本1本の攻撃を止める
06レート制限1つの相手からの回数の多さで止める
07・08ボット対策・Turnstile人間かどうかを見分ける
12SpectrumWeb 以外の TCP/UDP を DDoS から守る
15Tunnelオリジンの入口を1つも開けない
33Magic Transit会社のネットワーク全体を守る

「量で押す攻撃」はこの号、「中身が悪い攻撃」は 05〜08号、と覚えておくと整理しやすくなります。

  • Cloudflare のすべて 04 ― DDoS 対策
  • 14 / 15
  • 他の号とのつながり
  • Cloudflare のエッジ(世界中の拠点)
  • DDoS 対策(この号)
  • WAF(05)
  • 利用者
  • レート制限(06)
  • オリジン
  • ブラウザ・アプリ
  • ボット対策(07)・Turnstile(08)
  • Tunnel(15)で裏口なし
  • キャッシュ(02)
  • DDoS 対策で洪水を止め、残った「普通に見える悪いもの」は 05〜08号で止める
  • Web 以外は Spectrum(12)、証明書は SSL/TLS(03)、DNS 自体も守られる(01)
  • DDoS 対策は一番前の網。その後ろで、細かい守りが続く。

まとめ:網の大きさで受け止め、裏口は閉じる

この号で見たことをまとめます。

項目内容
DDoS とはたくさんの機械から一斉に送りつけて、サービスを止める攻撃
2つの層L3/4 は量で回線を詰まらせる。L7 は普通に見えるリクエストで処理を疲れさせる
受け止め方エニーキャストで世界中の拠点に分散させ、それぞれの拠点で見分けて捨てる
ルールネットワーク層と HTTP の DDoS マネージドルールセット。全プランで自動で有効
料金全プランで量の上限なし・追加料金なし
最大の弱点オリジンの IP が漏れると、エッジを素通りされる
守り方すべてプロキシを通す。オリジンは Cloudflare からだけ受ける。できれば Tunnel

Cloudflare の DDoS 対策は、利用者がほとんど何もしなくても効いている、珍しい種類の守りです。だからこそ、自分で穴を開けないことだけは意識してください。次の05号では、1本1本のリクエストの中身を見て止める WAF を扱います。

  • Cloudflare のすべて 04 ― DDoS 対策
  • 15 / 15
  • まとめ:網の大きさで受け止め、裏口は閉じる
  • Cloudflare のエッジ(世界中の拠点)
  • ネットワーク層の DDoS ルール(L3/4)
  • 正常
  • HTTP の DDoS ルール(L7)
  • 利用者
  • WAF・レート制限・ボット(05〜07)
  • オリジン
  • ブラウザ・アプリ
  • キャッシュ(02)
  • 入口を絞った
  • 攻撃
  • 攻撃
  • 攻撃
  • 攻撃
  • 攻撃
  • 攻撃
  • 攻撃
  • 攻撃
  • 攻撃
  • 攻撃
  • 攻撃
  • 攻撃
  • L3/4 も L7 も、エッジで自動で見分けて捨てる。設定はほぼ要らない
  • 効かせる条件:全部プロキシを通す + オリジンの IP を知られない・知られても入れない
  • 全プランで上限なし。守りを生かすのは、裏口を閉じること。

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